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デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報親密度Lv1親密度Lv100 ブーストステータス 覚えるパッシブスキル一覧早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル 神姫固有武器補正得意武器 不得意武器 神姫考察攻撃力 防御力 機動力 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー 島田フミカネ(ストライクウィッチーズ、メカ娘等) 声優 茅原実里(涼宮ハルヒの憂鬱:長門有希、みなみけ:南千秋、らき☆すた:岩崎みなみ、他) 神姫解説 他社最新モデルに対抗する為、3rd規格の素体をベースにアップデートされたストラーフ系最新モデル。新モデルではクロスレンジにおける機動力、回避能力の向上に重点が置かれた設計へと変更。AI設定はやや気難しい性格だが、信頼関係を築けばオーナーの心強いパートナーとなっている。 名称:悪魔型ストラーフMk.2(あくまがたすとらーふまーくつー) メーカー 素体:FRONT LINE 武装:FRONT LINE 型番:FL017 (FLO17とする記述も) フィギュア発売:2010年7月15日(バトルマスターズ同梱)/2011年9月22日(フルアームズパッケージ)(バトルマスターズMk.2同梱) (初期モデルのストラーフは2006年9月7日発売) 主な武装:コート、コーシカ(短剣と小剣。バトコンではどちらも片手斬撃武器) ディーカヤコーシカ(コートとコーシカを合体させた双剣。手裏剣かブーメランのように投げて使うとされたか。バトコンでは投擲武器) クルイーク(フルアームズパッケージで新しく追加された小型パイルバンカー。バトマスではなぜかダブルナイフに分類されていて、その流れかバトコンでも双斬撃武器として実装されている) グリーヴァ(リアユニットに背負っている太刀。バトコンではリアパーツ) ジーラヴルズイフ(ラヴィーナで新しく追加された巨大な拳銃。そちらの解説によると、クロスレンジで敵をぶち抜くための追加武装とのこと。バトコンでは防具用武器) ローク(両刃の剣先とガトリング砲門を備えたシールド。バトマスではパイルバンカーに分類されていて、その流れかバトコンでも防具用武器として実装。シールドとしてカテゴリ別けされることはなく、ガトリング部分も未だに未実装の不遇な武装) ウラガーン(パーツの組み替えで生成する、前進翼の攻撃機。名前はロシア語で「暴風」の意味。フィギュアではガトリング砲門を3つ備えているが、シリーズ通して再現されていない。バトコンではアクティブスキル使用時に拝見できる) 通称「黒子」「黒子Mk.2」「くろにー」。 FRONT LINE社のベストセラー機種ストラーフ系列の最新モデル。 重装甲と打撃力で猛威をふるった初期モデルだが、エスカレートする合体武装や超高機動型など神姫バトル初期には存在しなかった他社最新モデルに対抗する必要があった。 これまでは相手の攻撃を受け止めつつ反撃するスタイルであったが、新モデルではクロスレンジにおける機動力、回避能力(体術)の向上に重点が置かれた。 また、新装備のガトリングシールド「ローク」をコアとして各アーマーパーツを組みつけることで攻撃機「ウラガーン」を形成。本機の苦手とするミドル~ロングレンジでの攻撃をサポートする役割を担っている。 本機は随時、仕様のアップデートを行っており、2041年においてはロールアウト時と比較してより多彩な武装が追加されている。 新たな装備としてバリエーション機であるラヴィーナ(FL017/L)で採用されたハンドキャノン「ジーラヴルズイフ」、マフラー状の複合センサーを導入。更に外付けブースターやパイルバンカー「クルイーク」などのパーツを追加したことで総合的な格闘能力を向上させている。 長大な刀「グリーヴァ」によるリーチと、敵急所を正確に狙う身体コントロール能力を持つが、単純なパワー比べでは初期モデルにも劣っており、オーナーの戦術が問われる玄人好みの神姫である。 実神姫(ノーマル版/フルアームズパッケージ版)の入手関係にまつわる問題はアーンヴァルMk.2の項を、リペイント版についてはラヴィーナの項を参照。 メインビジュアルにいるだけあって、公式媒体に於いても各ゲーム版で皆勤賞。発売時期の問題でコミック媒体各作品には登場しない(初代ストラーフは登場)ものの、アニメでは主役級レギュラー「ヒナ」としてお馴染みの神姫である。 そして、当然のように2024年のパチスロ版にも相方共々メインビジュアルから登板しているのだが、こちらのキャラグラフィックモデルが本作のものよりも幼めなイメージである事から違和感を感じてしまったユーザーも少なからずいる模様。 余談になるが、このフルアームズ版ラヴィーナが、コナミ内製のフィギュアが一般販売された武装神姫の掉尾を飾っている(2012年3月15日)が、新作ではなくリデコリカラー品であるため、その一ヶ月前(同年2月23日)に発売されたフブキ/ミズキ弐型を「最後の武装神姫」として挙げる声もある。 ただし、武装なしの素体だけであれば、2016年にアニメ版Blu-ray BOXの購入者特典として復刻生産されたもの(ヒナ名義)が少数存在するが、細部が当時品と若干異なっており、これはこれで物議を醸した。 性格 今までの作品では非常にストイックな性格で、クールで辛口な物言いだったが、バトコンではクールな面を出しつつも周りに距離を取られていることを気にしたり、知った情報を鵜呑みにしてしまう、思ったことは隠さず喋ってしまう等紹介文の気難しい性格というより、素直すぎて何処か放ってはいけない性格となっている。 ただ、バトル時に厚い一面を見せてくれるのは相変わらず。 なお、アーンヴァルMk.2が旧モデルとほとんど人格パターンが変わらなかった事に比べ、こちらは所謂「ボクっ子」であった旧モデルから大幅に改変されており、従来からストラーフを愛用していたオーナー間に少なからぬ論議を巻き起こした。 おそらくアニメ版のヒナから性格をある程度フィードバックしたものかと思われる。 セリフ一覧 + マスターと話すのはとても楽しい。 ログイン時 通常(朝) おはよう。また会えたな。今日もよろしく頼む。 おはよう。今日は随分と早いんだな。 通常(昼) こんにちは。ランチは終わったか?バトル前の腹ごしらえは大事だからな。 こんにちは。よし、私の実力を見せてやろう。 通常(夕) こんにちは。さあ、トレーニングを積んで差を付けよう。 こんにちは。もうすぐ日が沈みそうだが、まだまだ戦う時間はありそうだぞ。 通常(夜) おかえり。さあ、何がしたい?最大限に応えよう。 こんばんは。夜も付き合ってもらえて嬉しいぞ。 通常(深夜) こんばんは。こんなに遅くまで一緒に居れて嬉しいよ。 こんばんは。夜も遅いが、トレーニングならいつでも付き合うぞ。 年始 マスター。今日はお餅を食べる日なんだろう?のどに詰まらせないように気をつけて食べるんだぞ。 (ボイス) あけましておめでとう。バトルに臨むにはいい機会だ。今年もよろしく頼む。 バレンタイン 何も言わずに、このチョコを受け取ってほしい。何も言うなと言ったが、嬉しいそうな顔くらいしてもいいんだぞ… ホワイトデー ホワイトデーか…。お返しは最高級の武装で良いぞ。 エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきたな。トレーニング後に負荷が掛からないよう、こまめに水分を取るといいぞ。 水着キャンペ ただ今期間限定イベント、開催中だ。特別に水着を着なきゃいけないようだ。まあ、期待はほどほどにな? 七夕 七夕か。いいだろう、私が(プレイヤー名)の願い事をかなえてやろう! ハロウィン ハロウィンがどんなイベントか知らないが、まぁ、楽しそうだからきっと目出度いんだろうな。 冬季 寒くなってきたな。身体を冷やさないよう、早速バトルであったまるとしようか。 クリスマス (プレイヤー名)。悪魔型のあたしのところにもサンタクロースは来てくれるだろうか? (ボイス) メリークリスマス。悪魔型のあたしが言うのもなんだが…きょ、今日は、ずっと一緒に過ごせると、嬉しいな。 神姫の発売日 オーナーの誕生日 誕生日おめでとう。一緒に過ごせて嬉しいよ。素敵な1日になりますように。 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (プレイヤー名)、呼び方を変えてみるのはどうだろうか?戦いにおいてお互いの呼び方は大切だからな。 (→決定後) (プレイヤー名)だな。いいだろう。これからはそう呼ぼう。 レベルアップ後 MVP獲得 3連勝後 親密度Lv5後 (プレイヤー名)。あたしは悪魔型なんだが、そもそも悪魔型って名前のイメージがあまり良くないと思わないか? 親密度Lv10後 どうもここのところみんなに怖がられている気がしてな…。きっとこれも悪魔というイメージがよくないんじゃないかと思うんだ。 親密度Lv20後 (プレイヤー名)は別にそう思わないのか?そうか…。それはうれしいんだが、やはり世間のイメージはそうじゃない気がするんだ。 親密度Lv30後 世の中には悪という要素も必要だというがそれを悪魔型だからってあたしが背負うというのもなんだか割に合わないしな…。 親密度Lv40後 というわけで、(プレイヤー名)!イメージチェンジをしてみたいんだが、何かいいアイデアはないか? 親密度Lv50後 イメージチェンジといっても今のイメージからガラリと変えるのも難しいな…。手始めにまずは表情の変化からか なるほど…。 親密度Lv60後 やぁ、(プレイヤー名)!今日はとってもいい天気だな!こんな清々しい日は思いっきり身体を動かして楽しもうじゃないか!あっはっはー! 親密度Lv70後 何…?感情が一定でただの棒読みになっているだって…?そ、そんなバカな!やはりあたしにはイメージチェンジなんて無理なのか!? 親密度Lv80後 (プレイヤー名)!何かいいアイデアはないだろうか? こんなあたしでもイメージを一新できる秘策でもあれば…?何、任せておけだと!本当か!? 親密度Lv90後 ふふふ、(プレイヤー名)の笑顔とってもかわいいね。あたし、あなたがいないとダメかも!…ってこれは悪魔というか小悪魔ではないのか?! 親密度Lv100後 今のままで魅力的だから周りの目なんか気にするなって? な、何を急に!?…そうか、悩む必要なんてなかったな。あたしは(プレイヤー名)だけの悪魔でいるよ。これからもずっとな。 頭タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) (プレイヤー名)。せ、せめて他の神姫が見てないところでしてくれないか…?さすがに恥ずかしいぞ。 胸タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 (プレイヤー名)はあたしの戦い方を理解しているか?剣と名のつくものは得意だから是非戦略に生かしてほしい。 武装カスタム 戦闘力Up時 これがしっくり来るな。 武器LvUP時 戦闘力Down時 本当にこれで行くのか? 素体カスタム 親密度LvUp時 これは、まだまだ強くなれそうだ 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え いつでも行けるぞ。 バトル開始時 さっさと始めよう。戦場に言葉は要らない! 強い相手は大歓迎だ、君達がそうだと願うよ。 → どれほどの力を持つ相手か、楽しみだな。 バトル中 撃破時 やったぞ! 目標撃破! コンテナ入手時 被弾時 良いハンデじゃないか オーバーヒート時 スキル発動時 (能力強化系)体を強化する! (HP回復系)絶対勝つ! (デバフ系) (攻撃スキル)まあまあ強かったが、ここまでだ (チャーミークリアボイス)強い相手は大 歓 迎 だ!楽しませてくれよ? 被撃破時 まさか…!あたしがやられるなんて…。すまない…。 このあたしが…こんなところで! 次出撃時 まとめて掛かってくるがいい! サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 完勝だな、私たちの相手としては物足りなかった やった!全てが上手く行ったな、最高の気分だ → 遠慮はいらない、存分に褒めてくれて良いんだぞ 2位以下 → 3位 → 4位 → カラフルコンダクト 見せつける優れた戦い方 (2021/09/07~) マスターと二人で道を究めよう 見せつける優れた戦い方(実装当初の歌詞と同じ) 遠慮などいらない誉めていいぞ コンテナ獲得時 1位 プレゼントだ、受け取るが良い 2位以下 だが、報酬だけは死守した。次こそは必ず LvUP時 神姫親密度 もっと頼っても良いのか? マスターレベル 神姫ショップお迎え時 はじめまして。使いこなすのは大変かもしれないが、見合う実力は保証しよう。 はじめまして。やっと出会えて嬉しいぞ。よろしく頼む。 ゲームオーバー時 今日は楽しかった。また会えるのを楽しみに待ってるぞ。 その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 …あたしの聞き間違いか?今、リセットって言ったのか? はい を押す 本気なのか!ここまでの成果を全部捨てるって事だぞ!今ならまだ間に合う、考え直すんだ! はい を押す(二回目) そうか…もう少し一緒に戦いたかったが…次出会う私とはもっと上手くやるのだぞ…さよならだ… リセット完了 はじめまして。やっと出会えて嬉しいぞ。よろしく頼む。 リセット取消 はぁ~、脅かすんじゃない!良い趣味とは言えないぞ! 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・主(あるじ)・アニキ 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N 80 65 90 300 100 R 85 70 100 350 120 SR 90 75 120 400 140 UR 95 80 140 450 160 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - ブーストステータス 1/s ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 ブースト回復量 ジェム回収展開速度 N 940 105 50 20 90 170 3300 R 1030 125 70 40 110 3320 SR 1120 145 90 60 130 3340 UR 1210 165 110 80 150 3360 覚えるパッシブスキル一覧 モード オブ サタンストラーフ専用パッシブ一定の確率でクリティカル・クリティカル防御アップ 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ジェムの出す量軽減[小]敵に攻撃された際に出すジェムの出す量を少なくする クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる 追加ダメージ軽減[小]敵からの追加ダメージを軽減する 全能力アップ[小]全ステータスがアップする *要限界突破(L110) 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる *要限界突破(L120) 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ 追加ダメージ軽減[小]敵からの追加ダメージを軽減する ブーストアップ[小]ブースト速度が増加する *要限界突破(L110) 溜め威力増加[中]溜め攻撃の威力が上がる *要限界突破(L120) 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる ため時間減少[小]ため時間を減少する ため威力増加[小] *要限界突破(L110)ため攻撃の威力を上げる ブースト最大値アップ[中] *要限界突破(L120)ブーストゲージの最大値を上げる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +35% 片手斬撃武器・双斬撃武器 +30% 両手斬撃武器・片手ライトガン 不得意武器 -30% 腰持ちヘビーガン・肩持ちヘビーガン 神姫考察 攻撃力 素のATK値の高さにパッシブスキルの攻撃力アップにクリティカル発生アップ、晩成型のため時間減少に専用スキルと、攻撃面は最高峰。 防御力 素のDFE値は高めだが、直接関わるパッシブスキルが追加ダメージ軽減によろけ軽減と恩恵が少ない。 機動力 ダッシュスピードはごく平凡なのに燃費が悪いので、総合的な足回りは最悪な方。ブースト面でカバーは必須。 総評・運用 アーンヴァルMk.2の対になる形として一緒に開発・発売されたのもあって、武装神姫というコンテンツの看板神姫を長らく勤めている。自身の武装はほぼ全て得意武器として設定されているという、幅広い対応力も同じ。 ジーラヴズルイフがある防具用武器(遠距離)は得意ではないのに注意。 また、クロスレンジでの戦闘力向上という文面通り、片手斬撃武器と双斬撃武器の補正が一回り高くなっているのも特徴。他の神姫と差をつけるならこの二つを軸に装備することになる。 ただ神姫素体と武装にダッシュ消費量増加ブースト回復量増加のマスクステータスが設定されている。端的に言うと回復が速いが消費も速い。よって切り返しの多い機動力戦は苦手。本来の設計は… 普通に扱うと痛い目に遭うので、この神姫専用の戦法を意識する必要がある。 余談だが、バトロンバトマス時代の性格は中々気難しい性格だった。それが今作になって性格が大幅に変更されたが、その際に扱いにくいところはマスクステータスに移ったようだ… 専用スキルの発動率は約20%。効果上昇量は不明。 正直あってもなくても変わらないのが残念なところ。ATK値とクリティカル発動率を同時に上げてくれるホワイトデー緑武装の存在が救いか。 足回りはどうやっても他神姫に数手遅れるので、それをカバーする長射程のフレグランスキラーを装備するか、IM&ヴィントシュトース+超硬タングステン鋼芯にロークやポーレンホーミングでどの距離でも危険な存在としてどっしり構えるのも手。 解放パターンは早熟型は典型的な防御型。通常型はオーバーヒートしやすいストラーフに嬉しいスピードアップ。晩成型は大ダメージチャンスを増やせるため時間減少。どれも一長一短なので、自身にあったタイプを見つけよう。 神姫攻略法 近寄らない。これが一番。 いつの間にかそばにいて超手痛いダメージを貰った、なんてことにならないように、常にレーダーでどこにいるか把握しよう。 特性上強引に詰めれる神姫ではないので、こちらが見ていれば手出しできなくなる。 冷静に片手ライトガンでタイマンで撃ちあう状況に持ち込まれると危険なので、とっとと離れて他の人にロックが向かわざるを得ない状況に持ち込もう。 お迎え方 稼動開始(2020/12/24~)から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2021.5.26 内容:専用パッシブスキルの説明文変更 日時:2023.8.7 内容:DEX、ジェム防御力、クリティカル、ダッシュスピード、ジャンプスピードを上方修正 コメント 装備一式を用いた場合の火力は相当なものになるけど機動力が最重要とされる現環境からするとちょっとミスマッチなのが悲しい。やりようはないわけではないけど -- 名無しさん (2021-01-21 00 46 38) 防具用武器が補正アリとの記述があった為、検証班スプレッドを確認、補正値はなかった為記述を訂正しました。 -- どどめ (2021-06-24 12 43 30) 名前 コメント
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回の00「不変ではいられない僕ら」 2037年9月。高校二年の夏休みを満喫しきった藤原雪那(ふじわら・せつな)は、その長い休暇のほとんどを自分の武装神姫、マオチャオのティキと共に過ごした。 例えば初めて大きな大会に参加してみたり、ティキをつれた家族旅行に出かけたりなど。 当然、今までに知り合った仲間たちとの交流も大切にし、何かのたびに待ち合わせては地元の神姫センターなどに通ったりもしていた。何も変化が無かった、というわけではないが。 特別な何かがあった訳ではないが、それでも昨年までとは違う夏休みを終え、それでも厳しい残暑に打ちのめされながらも、一年前では予想もしていなかった新たな習慣が繰り返されている。 先週も一人で都内にまで足を伸ばし、ホビーショップ・エルゴでバトルをしたばかりだった。エルゴでの、初めてのシルヴェストルのお披露目をかねたそのバトルは――なんと言うか、散々な目に遭わされたのだが。 そして3連休の真ん中日曜日、シルヴェストルの改良もあったので雪那もティキも空調の利いた自室にこもっていた。 「そう言えば……」 細かいパーツに苦戦しながら、雪那は口を開く。雪那の手伝いをしているティキは、自分のオーナーの言葉に視線を向けて反応した。 「……そろそろこの家に来て一年がたつんじゃないの?」 「えーっと、うーん?」 なにやら考え込み始めるティキ。 神姫のこういった見せ掛けの記憶の揺らぎは、人とのコミュニケートを潤滑にするための、いわば機能の一つだ。 記録を参照するだけなのだから、わざわざ考え込むような、思い出すかのような時間は必要ない。しかし、そうある方が人間はその“個体”と“対話”した気分になるものだ。 「そうですよぉ! 今日でちょうど一年になるのでっすよぉ♪」 思い出し、そしてティキは飛び跳ねて喜ぶ。 「そっかー。じゃあ、今日がティキの誕生日だなあ」 作業を中断し、大きく伸びをしながらティキに微笑む。 「なんかお祝いでもしなきゃね」 「お祝いですかぁ!」 目をきらきらと輝かせるティキ。それに、どうしようかねー、といいながら雪那が頭を傾げていると、呼び鈴の機械音が響く。 この時間雪那の母、藤原舞華(ふじわら・まいか)は自宅に接している店舗の方に居る。その事を知っている人ならば、たとえ郵便公社の配達員でさえ店舗に行くはずなのだが、なぜか自宅の呼び鈴が鳴った。 「僕に、かな?」 ティキに向けてそう言うと、雪那は玄関に向かう。 しかし程なくして自室に帰ってきた雪那は、怪訝な顔で大きな段ボールの箱を抱えていた。 「? 何なのですかぁ?」 なんとも形容しがたい表情の雪那に、ティキが質問する。 「……それが、なんて言うか」 歯切れが悪い。 「?」 「ティキ宛の、宅配物なんだ。……しかも親父から」 ほぼ時を同じくして、ここは結城邸。 「で、あの男の子とはどうなったの?」 その顔には隠そうともしない好奇心でいっぱいになっている。 その朔良=イゴール(さくら・――)に、少し寂しげな顔を見せて結城セツナは答える。 「多分、フラれちゃった。かなあ……」 「多分? かなあ、って?」 「はっきり言われたわけじゃ、ないから」 セツナはそう言うと、自分のカップのふちを指でなでながら話し始めた。 さらに同時刻。 式部敦詞(しきぶ・あつし)は自分の部屋で昨日の事を思い出し、また怒りを顕わにしていた。 「ったく、あのトウヘンボク! あんなんだったらまだ朴念仁の方がましだ!!」 自身の神姫、きらりとTVゲームをしながら昨日から何度目かにもなる言葉を繰り返す。 「そんな事言っても、仕方が無いでしょう? マスターだって雪那さんの言い分、納得してたじゃない」 人が使うものとは大きさも機能もまるで違うコントローラを駆使しながら、きらりは言った。 「そうだけどよー」 「大体マスターは司馬さんを応援してたんじゃない。だったら雪那さんの考えも、歓迎こそすれ責めるのはどうかと思うわ」 ここで言う司馬とは神姫を通して知り合った友人、司馬仙太郎(しば・せんたろう)の事である。 「いや、別にオレは司馬のダンナを応援してるわけじゃネーよ?」 「アレ? 違うの?」 「オレは周りがハッピーになれば良いと思ってるだけだ。だから、誰かを好きな奴がいて、そいつと付き合えるようになるならそれが良い、てだけ。司馬のダンナが結城を好きなら応援するし、だけど結城が雪那を好きなら雪那をたきつけるさ」 それって立派な三角関係の出来上がりだよ? 己のマスターのその言い分を聞き、どこら辺がハッピーなのかきらりにはチョット理解出来なかった。それでもあえて口にはしなかったが。 「つまりさ、雪那が結城の事が好きになるなら、それでそこの二人はハッピーだろ? ま、司馬のダンナは泣く事になるけど。でも万が一、結城が司馬のダンナの事好きになるなら、それでもハッピーじゃん。でさ、結城が司馬のダンナを好きになるよりも、雪那が結城の気持ちに応える方が、確立としては高いと思ったわけ。なのにさ、結城の気持ちに気付いてないならまだしも、只はぐらかしていたって言うアイツは、ヤッパリどうかって思うわけよ」 器用に自分の自機を操作しながら、敦詞は思う所を吐き出す。 敦詞の意見が正しいのかどうかはさておき、それでも敦詞の思いをきらりは理解した。 しかし昨日、雪那の言い分も聞いてしまったわけだから、雪那も考えも一応理解しているわけで。 きらりは途方にくれる。 その途端、きらりが操作していた機体が、敵機に撃ち落されてしまった。 「でもそれって、全部憶測なんでしょ?」 そう言って、朔良はわずかに残ったカップのお茶を飲み干す。 「まあ、ね。あくまでそういう風に感じた、ってだけ。それ以上は別に避けられているわけでもないし」 その会話をそばで聞いていたセツナの神姫、海神ⅡY.E.N.N(わだつみ・せかんど・わい・いー・えぬ・えぬ)こと焔(えん)は、実は気が気じゃなかった。 焔は昨日、雪那と敦詞の会話を偶然にも聞いてしまっていた。しかもその後に敦詞に見つかってしまい、セツナには秘密だと一方的に約束されてしまった。 実際問題、セツナと敦詞では、セツナの方が焔の中では上位に存在している。オーナーの友人でしかない敦詞より、オーナーであるセツナの方が優先されるのは当たり前だ。 しかし、だからと言って、その会話のありのままをセツナに話してしまうのは、あまりにも憚れた。 決して大げさな話ではない。大それた決意でもない。でもだからこそいえない事もある。 「ま、あんまり考えていても、なんともならないわね。この話はこれでおしまい」 セツナのその一言に、焔は安堵の息を吐く。その話題が長引けば、ぼろを出す危険が増すだけだ。 「で、今日は本当は何の用なの?」 まさかその話題だけで家まで訪ねて来たわけじゃないのでしょう? と、セツナは空になったカップにお茶を注ぎながら朔良に促す。 朔良は、ヤッパリ判ってた? と、茶化したように言うと、言葉を続けた。 「実はね、セツナに引き取ってもらいたいものが有ってサ」 そう言うと朔良はかばんの中から小さな箱を取り出す。 「実は、私も武装神姫やってみたいと思ってさ、ちょうど良いからってこれを注文したんだ。……だけど、これが届いた頃には、興味が無くなっちゃったんだよネ。まぁ、色々理由はあるんだけど、それは追求しない方向で。で、何もしないで寝かしちゃうのもこの娘に悪いから、有効に活用できそうな人に、って思って」 「って、それってリペイント版の!」 朔良が取り出したその箱には、MMS TYPE DEVILと印刷されていた。 話は雪那とティキに戻る。 今は亡き父の名で送られてきたその箱を前に、雪那とティキは何も出来ずにいた。 冷静に考えれば父、修芳が生前に日時指定して送った物だろう。だが、判ってはいても一寸した不気味さを醸していた。 ……少々時期がずれたとはいえ、夏場という季節のせいもあるかもしれない。怪談の旬はやはり夏場であろう。 なにより、昨晩見た心霊番組がいけない。その内容をついつい思い出してしまう。 「……よし」 意を決して雪那はその段ボール箱に手をかけ、箱を封じているガムテープをはがし始める。 はたしてその中には、更なる段ボール製の箱が収められてあった。 しかし不気味さはさらに増す。 何が不気味と言えば、その段ボール製の箱は、その見える全てを完膚無く、一部の隙も無く、真っ黒に塗りつぶされているのだ。 ティキは恐怖に震えながら、ぎゅっ、と雪那の腕にしがみつく。 「は……ははは。一体、これは何なんだろうね」 引きつった笑いを浮かべながら、雪那は恐る恐るその箱を取り出す。 案外、軽い。 箱の大きさの割には重くは無い。 持ち上げて裏も見てみるが、案の定裏面も一切の余白も無く真っ黒に塗りつぶされてあった。 雪那はそっ、とその箱を部屋の真ん中に置く。 「……どうしようか?」 ティキに聞いても返事は無いだろうと予測してはいたが、それでも思わず聞いてしまう。そして予測をまったく違えることなく、ティキはただ雪那につかまって震えているだけだった。 埒が明かない。そう思った雪那は、頭を振ると勢いに任せてその箱を開封する。 恐る恐る覗き込む雪那の目に、どこかで見たようなブリスターパックが入る。 「???」 いぶかしみながらパックを引っ張り出す。 雪那によって姿を現したそれをティキは覗き見る。そしてそれを確認した途端―― 「みぎゃぁぁぁぁぁああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 すさまじい悲鳴を上げて、部屋の隅に逃げ出した。 雪那とティキが目にしたそれは 一週間前エルゴに行った際、ティキをデータ上とはいえ破壊ギリギリまで追い込んだ、ネメシスという名の神姫と同型同色の 黒い、アーンヴァル。 トップ / 次回
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ここでは、ゲーム内で入手可能な神姫の一覧です。 レア度:ノーマル 素体名 攻撃力 防御力 コスト 得意ウエポン ネイキッドフレッシュ 150 160 6 近接 ネイキッドレッド 160 130 6 射撃 ネイキッドブルー 110 190 6 砲撃 ネイキッドグリーン 200 100 6 近接 ネイキッドグレー 80 220 6 射撃 ネイキッドホワイト 460 130 12 砲撃 ネイキッドブラック 120 510 12 砲撃 サイフォス 330 280 15 近接 サイフォスRP 400 330 18 近接 紅緒 270 270 15 近接 紅緒RP 320 330 18 近接 ジルダリアRP 160 180 11 砲撃 ジュビジー 230 170 11 射撃 イーアネイラ 220 280 15 砲撃 イーアネイラRP 260 340 18 砲撃 ハウリン 290 300 16 砲撃 マオチャオ 290 300 16 近接 エウクランテ 260 300 16 射撃 エウクランテRP 310 350 19 射撃 アーンヴァル 290 310 17 射撃 アーンヴァルRP 360 370 20 砲撃 ストラーフ 290 310 17 射撃 レア度:ノーマルレア イーアネイラRP 660 350 18 砲撃 ハウリンRP 590 310 16 砲撃 エウクランテ 590 300 16 射撃 ストラーフ 990 380 20 射撃 レア度:レア サイフォスRP 880 440 36 近接 紅緒(スク水) 960 520 27 近接 ジルダリア(スク水) 680 470 20 近接 イーアネイラ 800 450 23 砲撃 イーアネイラRP 810 450 23 砲撃 イーアネイラRP(体操着) 940 520 26 砲撃 ハウリンRP(白) 900 480 24 近接 ハウリンRP(黒) 990 530 27 近接 ハウリンRP(スク水) 1080 570 29 近接 マオチャオRP 980 480 24 近接 エウクランテRP 880 470 24 射撃 アーンヴァル 970 540 28 射撃 アーンヴァルRP 890 490 25 砲撃 アーンヴァルMk2 380 330 67 近接 ストラーフ(体操着) 1170 570 29 射撃 ストラーフ(スク水) 1230 590 30 近接 ストラーフMk2 340 500 67 射撃 フブキ 310 390 62 射撃 ミズキ 350 390 62 射撃 レア度:スーパーレア ジュビジーRP 380 1000 34 近接 イーアネイラRP 1130 660 33 砲撃 マオチャオRP 1360 700 35 近接 マオチャオ 1320 700 35 近接 アーンヴァルMk2SW 600 520 98 近接 アーンヴァルMk2 530 490 93 近接 ストラーフMk2SW 530 780 98 射撃 ストラーフMk2 480 740 93 射撃
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用語解説 『称号』 双姫主(そうきしゅ): 文字通り、二体同時に神姫を操る事ができる者に付けられる称号。デュアルオーダーというその技術としての呼び方もある。 刻一刻と変化する戦況を見極めて指令を飛ばす事のできる並外れた判断力と全体を見渡せる指揮力を求められる高度な技術であり、それをできる人間は少ないとされている。 また、試合と情報が複雑化する故にバトルロンドでは推奨されないやり方でもある。(禁止にされているわけではない) なお、この称号は『俺』固有の称号ではなく、二体同時に神姫を操る者全てが該当する。 首輪狩り(くびわがり): 輝との約束からリミッター解除装置を狩り続けたために付いた尊のあだ名。首輪の形をしたリミッター解除装置を回収する事から名付けられた。誰が言い出したのかは不明である。 『神姫用語』 イーダプロトタイプ: HMT型イーダのパーツ試験用にイーストラボラトリーが作り出した試作モデル。 『俺』がネットで調べた結果、イリーガル技術は使われてはおらず、素体やパーツを突き詰めて調整されたワンオフ機であると推測している。 性格の方はお嬢様言葉を使わず、ハウリンやエウクランテに近いものとなっており、この事から人格ロジックはまだ未完成だったと思われる。 戦いの末、『俺』の神姫となった際、イーダプロトタイプは先行入手版の通常のイーダとして表向きの神姫登録がなされている。 アークプロトタイプ: HST型アークのパーツ試験用にウエストラボラトリーが作り出した試作モデル。 こちらはあまり制約を考えていないため、イリーガル技術がふんだんに盛り込まれており、単純な性能はイーダプロトタイプを上回る。 イーダプロトタイプの最後のチャンスの戦いで負けた後はウエストラボラトリーの方針の転換によって必要とされなくなり、現在は必要なデータを吸い出されて処分すらされる事もなく、放置されている。 リミッター解除装置: 一時的にCSCにかかっているリミッターを解放することで神姫のCSCの消耗と引き替えにイリーガルと同等かそれ以上の性能を得る事のできるチョーカー型のパーツ。 イベント限定パーツ『イリーガルマインド』に似せた違法パーツなのだが、神姫のリミッターを外すという特殊なものであるために神姫センターのセキュリティに引っかからず、神姫センターも手を焼いている。 しかもこれは使用した神姫のCSCの磨耗、つまりは負荷をかけてしまうために、使いすぎるとAIの不具合やCSCの故障及び破損が発生し、最悪の場合、使用した神姫のCSCが壊れ、死ぬ。 仮想物質: CSCのエネルギーによって生成されたエネルギーの塊。 これによってスキルを発動した時、存在しないはずの羽の弾丸の射撃や武器の分裂、武器の属性付与といった事を可能とする ハイブリッドタイプ: ボディを規格品で揃える事なく、構成された神姫の総称。 簡単な例としてはコアと素体が異なる物にして起動した神姫だが、その他にもCSCとコアを除くパーツは換装可能であるため、必要に応じて他の素体のパーツを付け替える事でそうなる事もできる。 戦闘に柔軟に対応する事ができるが、当然、改造前と改造後の身体の感覚は異なるため、それを扱うためにはある程度の時間が必要である。 また、石火の様にコアを換装する事は可能といえば可能だが、神姫の死の危険が伴う上に成功確率が低く、さらには思考パターンを変えてしまうが故に改造直後は拒否反応を起こす危険が付きまとう。 塵の刃(ダストアエッジ): 蒼貴が会得した専用スキル。通常使用では使い捨ての武器を作り出すだけだが、ミズキ装備に隠されたBM『神力開放』を使用する事でその本領を発揮する。 SPを固定化する事で無制限に使えるようになった仮想物質で周囲の塵を操り、様々な形の武器を作り出し、変幻自在な無限の剣を振るう。その切れ味は神力開放を使わずともイリーガルのボディを一撃で切り裂ける程、鋭い。 E+ 尊がアサルトカービン用に自作した特殊弾倉の一つ。正確にはEXPLOD+という。 Nitroジェリカンのアルコール分を使って火力を高めてあり、通常のEXPLOD弾倉より威力が高めになっている。 ただし、反動が高く、連射性が低下しているため、精度は期待できない。 弾倉コード: 弾倉の種類を速やか伝えるために尊の発したコード。炸裂(EXPLOD)弾ならE、ペイント(PAINT)弾ならPとイニシャルだけを言うため、装填の順番まで早く伝えられる。 アクセルロンド: 別ページにて説明 模倣技: 別ページにて説明 『その他』 バーグラー: 有名人狩り、辻斬り、闇討ち、武装神姫のパーツの略奪など神姫を用いた汚い行為に走る者を総称する『賊』を意味する言葉。 ネット界隈から発祥し、現実においてもそうした者達を呼ぶ隠語として広まっている。 大抵が集団で行動しており、一対多数、罠、騙し討ちなどあらゆる手段を用いて狙った獲物を確実に潰す。この時、神姫の命であるCSCの破壊を行う事も少なくない。 また、金目当てでネットや神姫センターの裏で仕事を請け負う者もおり、金次第で何でもやるという トップへ
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戻る 先頭ページへ 大学構内のリアルバトルセンター、そこに俺はいる。 ここはバーチャルバトルセンターと違い普段から人数が少ない。それは今日とて例外では無いが、そんな場所に俺と君島とオマケはいるのだ。 何故こんなところに居るのかと言うと、研究室でカレーを食ってたところに君島が表れ、俺にバトルを申し込んだからだ。断る理由も特に無く―――裕也先輩が君島に負けたというところにも興味があった―――俺は君島とバトルをする為にここに来たという訳だ。最も、君島がリアルバトルを申し込んで来たことに一抹の疑問を抱いたが。 君島はお喋りなキャラじゃないのは見て取れる。だから俺達は口数も少なく神姫の準備をしている。この中で一番喋ってたのがアリカというのはどうでもいい話だ。 ナルに戦闘用装備を装着し、各種作動テストを行った後にバトルスペースの待機場所へと送り込む。あちら側を見れば、アリスの準備は既に終わっているようだ。純白のストラーフの姿が見て取れる。 後は互いの確認の元、バトル開始の手続きを取るだけ。君島の様子は初めて見た時と変わらない、気弱そうな危なっかしい印象のままだ。 「……よし、と。ナル、準備は良いか?」 既に装備のチェックもボディのチェックも終わっているが、気持の問題で話しかける。 「はい、問題ありません」 「OK,怪我しないよう、頑張ってくれ」 ナルは、俺の相棒は何時ものように軽く微笑みながら頷いて、言った。 「了解です、マスター」 バトルフィールド『ソラーステド・ヒース』又の名を、焼野。 フィールドの壁に設置された出入り口から降りると同時に、硝子の大地が砕け散った。 ここには障害物は一切無い。あるのは不自然に蒼い空と、それを映す硝子の大地だけだ。 アリスの姿は直ぐに確認できた。ストラーフ純正装備、サバーカとチーグルによって生まれる重厚なフォルム。しかし、それは色が変わるだけで印象が全く違う。ノーマルのストラーフが禍々しい印象を与えるのに反し、アリスの姿はある種神秘的であった。蒼に浮かぶ一つの白は、まるで蒼穹を飛ぶ雲の様でもある。 「ナル、相手は純正だが油断はくれぐれもしないように」 言われるまでも無い。第一、ストラーフの純正パーツは際立った能力こそ無いものの、その性能は馬鹿に出来ない。なんてたって私もストラーフですから。 『バトル開始五秒前』 電子音が響く中、私はゆっくりと歩き、アリスとの距離を縮める。その度に硝子の大地が甲高い悲鳴を上げる。 『四秒前』 アリスは微動だにしない。その表情も全くの無表情だ。 『三秒前』 アリスとの距離が3sm程に縮まった。両手に力を入れると、全体が銃鋼と化した右腕からは幻感覚が、右腕からは刃鋼を握る感触が、鉤鋼からは奇妙な感覚が返ってくる。 『二秒前』 アリスはここでようやく動き始めた。背中に付けたフルストゥ・グフロートゥをサブアームで、フルストゥ・クレインを自身の手で執る。しかし、構える様な素振りは見せない。 『一秒前』 左腕を真っすぐ横に構え、刃鋼の連結を解く。 がしゃりがしゃり、という刃鋼同士がぶつかり合う音と硝子が割れる音が重なる。 アリスはやはり、というべきか。全く動いていない。 『バトル』 左腕を横に伸ばす。 『スタート』 瞬間、左腕を思いっきり振り上げた。そして、間髪入れずに振り下ろし、今度は左に大きく薙ぐ。 刃鋼は私の腕の動きを一瞬遅くトレースする。そして、複雑にベクトルが絡み合った刃鋼は予測不可能な軌跡を描きつつ、アリスがいた場所を粉砕する。 ここはリアルフィールドだから掃除が大変そうだ。 硝子が粉塵となって空を舞うその様子、それをそんな事を考えながら眺めていた。無論、警戒は解かない。 だが、私は甘かったのかもしれない。 「ナル、下がれッ!」 マスターの命令に身体が反射で動く。刃鋼を伸ばしきったままで思いっきりスラスターを吹かし、大きくバックステップ。 その瞬間、私がもといた場所に白い斬撃が奔った。 避けながらも視界の隅で確認したのはアリスの白い体躯と白い刃。 記憶の片隅に残る事すらない足音を想像すると寒気が奔った。 純粋に、迅い。そして恐ろしく巧い。 ほんの少し踏んだだけで割れる大地の上を無音で進んだ事。 3smの距離を一瞬で詰めた事。 刃鋼の一撃を搔い潜った事。 「恐れ入りますね……!」 そして、今こうして私目掛けてアンクルブレードを突き出してくると言う事。 バックステップの間、着地するまでのほんの一瞬。 アリスにはその一瞬で充分だったようだ。 異常なまでの速さ。並の反応速度では対処しきれないだろう超高速の攻撃。 しかし、私の感覚はその攻撃を的確に把握していた。 頭部大型センサーホーンに内蔵されたドップラーセンサと超音波センサ。視覚では捉えきれないアリスの動きですら容易に知覚出来る。 そう、例えば白いアンクルブレードの軌跡。喉元に一直線に迫るその軌跡。その軌跡に鉤鋼を重ねる。そんな事も出来る。 しかし、アリスも甘くは無い。アンクルブレードが防がれるのを察し、チーグルに持つフルストゥ・クレインを至近距離で投擲した。 この距離。1sm程の距離での投擲。そんな事をされたら鉤鋼で防ぐしかない。しかし、フルストゥ・クレインを防げばアンクルブレードが防げない。アチラと立てればコチラが立たず。まさにそんな状況だ。 「潜り込め」 その短い言葉の真意を汲み取り、私はあえてアリスに接近した。 ブースターの出力を瞬間的に全開させ、文字通りアリスに突っ込む。勿論、ただの考えなしに突っ込んだ訳では無い。アリスに突っ込む過程でフルストゥ・クレインを鉤鋼で防ぐ。次に迫るアンクルブレードは、右脇に抱える様にして防ぐ。 まさにお互いの息がかかる距離。そこでアリスと視線が交差した。 サファイアの様な蒼い瞳。私の真っ赤な瞳とは違う、澄んだ瞳。その瞳は何の感情も見せず、次の行動に移ろうとしている。 次の行動は右手のアンクルブレードか、フルストゥ・クレインの一撃だろう。ある程度密着しているとはいえ、私の武装とは比べ物にならないほど小回りは利く。 寂しくなるが離れる他手段は無い。地面目掛けて銃鋼を撃つ。中空に浮く私の身体はその凄まじい反動を殺す事が出来ず、銃口とは反対方向にベクトルを向ける。 この衝撃の余波はアリスにも及ぶ。アリスの注意が僅かに逸れたその瞬間に、右足を鋭く振り上げるが、難なく避けられるが計算通りだ。アリスは私の蹴りを避ける為に後ろに下がった。 「アレを使います」 マスターの返事の前に、全身のブースターを全力で吹かす。 前推進力を下方へ向ける。当然、私の身体は上へと向かう。アリスに飛行能力は無いだろうが、油断は出来ない。 バトルフィールドの天井ギリギリまで上昇し、姿勢を安定させる。そして、右腕そのものの銃鋼を天に掲げる。 銃鋼は所謂荷電粒子砲と呼ばれるもので、荷電粒子を磁場で一か所に収束固定し、それを加速して撃ち出すものだ。 撃ち出されるものが荷電粒子なだけで、原理は銃と変わらない。違うところがあるとすれば、弾頭が磁場で収束された荷電粒子である事、磁場の影響を受けやすいという事、距離により拡散してしまう事。 銃鋼には二つの使い方がある。一つは普通に荷電粒子を撃ち出す『連射』、もう一つは通常より強力な磁場を発生させ、そこに荷電粒子を限界まで注ぎ込んでから撃つ『タメ撃ち』だ。 銃口先端に発生させられた石ころ大の磁場。そこに荷電粒子を流し込むと粒子はその磁場に留まる事になる。磁場内に留まる荷電粒子は互いに反発しあい、その量が増えるほどにその反発は強まる。粒子加速器を遣う必要が無い程。 銃鋼の先端に石ころ大の光球が煌く。それは時折放電しながら解き放たれる時を今か今かと待っている。 「さて……コレをどうしますか?」 天に掲げた銃鋼、それを一息で振り下ろす。その過程で、磁場の収束を開放する。 刹那、文字通り雨の様な光弾が硝子の大地へと突き刺さった。 その一撃一撃が、神姫を粉砕して有り余る威力を孕む必殺の弾丸だ。しかも、それが十重二十重に降り注ぐと来れば、無事でいられる神姫はそう多くない。 そう思っていた時期が、私にもありました。 「……全く、痛み居りますね」 俺はこの眼を疑った。 ナルのタメ撃ち、決定打にはならないだろうがそこそこダメージは与えられるだろうと思っていた。 が、この光景は何だ? アリスは事もあろうに、迫る光弾の尽くをアンクルブレードとフルストゥ・グフロートゥで弾き落としているのだから。 これからどうするか? 君島が第一研究室の学生だって事は調べがついてる。アリスの異常なまでの機動力は第一研究室の十八番、アクチュエータを限界まで鍛え上げた賜物だろう。それに加え、アリス自身も相当に強い。武装はストラーフのデフォルトのモノだけだが、今は逆にそれが不味い。全てが刃物、しかも隙が少なく小回りが利く。対するナルは全てのレンジに対応した装備を持つが、小回りは全くと言って良いほど利かない。正直、相性が悪い。 が、勝ち目が無いわけでは無い。アリスの最大の武器が機動力であるなら、その要である脚を潰してしまえば良い。出来れば片足、最悪でも足首を破壊できれば戦況はこちらに傾くだろう。問題はそれを無傷で出来るかどうかだ。肉を切らせて骨を断つくらいしなければ、マズイかもしれない。 「相変わらず、オーバーキル、がお好きな、ようですね」 「……悪いがお喋りに構ってられる余裕は無いんだ」 心理戦、という訳か? そういう事をする人間には見えなかったが。それともナルの言うとおり、俺が人を見る目が無いだけか。 「十三班は、貴方、は。どうして、そこまで、するんですか」 ……何だ、君島は何を言おうとしている? 「貴方は、神姫の気持ちを、必要以上の、痛みと、恐怖を味わう、神姫の気持ちを、考えた事が、ありますか?」 成程、そういう事か。恐らく君島はどちらかと言えば愛玩派の人間なのだろう。それなら裕也先輩に仕掛けたのも納得出来る。 「BMAのレギュレーションは満たしているが?」 それなら逆に御しやすい。適当に煽って平常心を崩させて貰おう。 「第一、武装神姫は戦って南保のモノだろう。痛かろうが、怖かろうがフィールドに立てば関係無い。そんな覚悟が無いのなら神姫バトルなんてやらなければ良い」 「し、師匠!?」 余計なのが釣れたが気にしない事にする。 「……それが、神姫を、殺す、免罪符に、なるとでも?」 良し、掛った。掛ったが、何だこの違和感は? 悪寒とでも言うのか、何だか嫌な予感がする。 ……恐らく、俺の少ない良心が痛んでいるのだろうがそうは言ってられない。後で君島には謝ろう。 「神姫はモノじゃない……神姫は心を持っている……神姫は……ネリネは……私の……私の……!」 妙だ。君島の様子がおかしい。これは唯の愛玩派の行動じゃない。 ……そう、まるで、家族を、殺された、人間の、行動? 「ネリネは……優しい子だった」 何を言っている。俺はお前を知らない。知らない、知らない知らない知らない知らない知らない。 「……殺される……理由なんて無かった」 違う、違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。 「……なのに、何で……何で殺したの……!」 まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさかまさか。 来たのか、来てしまったのか。この時が、この道が。 君島、お前がそうなのか? お前が、そうなのか? 俺が、お前を、殺したのか? 「絶対に……許さない……カーネリアン……Red Legion……!」 先頭ページへ 進む
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「よろしくお願いします!」 「……よろしく」 フィールドに降り立ったミスズ。バイザーで口元しかわからないが、挨拶を返しくれるスポーツ精神はあるようで、相変わらずの大剣を構えて仁王立ちのイスカ。 ミスズの方は、ヘッドパーツ、胸部アーマーやら脚部にも装甲が付けられていて、背中にはさっき見たのとは違い、ロケットが付いてない機翼。 そして手に持つは両刃の光剣ダブルライトセイバー。なんか、いつも見てるミスズと比べて、ものすごく格好いいな。 ダブルライトセイバーを構えて地を蹴り、イスカに向かうミスズ。 そして、真正面から両者切り結ぶ。 今のところ、イスカはあの大剣しか使ってはいない。ミスズは他にも武装を使うのだろう。でも、火器類はさっきみたいに、あの大剣で防がれるかもしれない。しかも、移動は最小限、武道のような足運び、そして大剣を片手だけで扱い、ミスズのダブルライトセイバーを捌いている。 ダブルライトセイバーを棍のように扱い、中国のアクション映画さながら流れるような攻撃を加えていく。だが、イスカは幅広な大剣を使いそれすらもことごとく往なしていく。 「たぁっ!」 ミスズの気合いの一声。 大剣の間合いから一歩踏み込む。懐に入り込み大剣の刃に触れる寸前まで、身体を押し出し、付けているバイザーごと頭部を刺し貫こうとする。 だが、それも身体を軸足でない方を後ろに滑らし、半身になり大剣で反らすイスカ。 「甘いっ!」 「!?」 反らされた瞬間、ミスズはそのまま受けた反動を利用して、グルンと身体全体を独楽のようにして捻ねった。光学の剣特有の動作音を強く発しながら、エネルギーの刃がイスカに迫る。 ……どうだ!? 「――当てられると思ったんですけどね」 瞬時に間合いから離れたイスカを見て、ミスズが驚いている。 そこには、バイザーが付いてない姿のイスカがいた。空いていた方の手にナイフを持ち、逆手に握っている。 二人がいる奥の方、バイザーはずいぶんと遠くに飛ばされているみたいだ。 とっさの判断でナイフを持ってきて頭部を紙一重でガードはしたが、バイザーに当たりあられもない方向に飛んで行ったということかな。 隠れていた目元、イスカの瞳は真っ赤になっていて、深紅の大剣と相まって、血の色に思えてしまった。……本物の悪魔みたいな、こんな悪魔型もいるのか。周りの悪魔型はもう少し可愛らしいのが多いのに。 「……少しはできる」 顔が若干嬉しそうに見えた。ミスズの事を好敵手と認めたらしい。 そして手に持っていたナイフを腰に仕舞い、大剣を両手で持ち始めるイスカ。ここからは本腰を入れてやるということみたいだ。 「相手も本気みたいだ。あれは二度は通じないだろうからな。とりあえずけん制!」 ミスズの手からは、シンプルなハンドガンが転送されてきて、空中を飛んでつかず離れずの位置でイスカに向け撃ち込む。 「……無駄だ」 しかし、どんな場所からでも、あの大剣で防がれる。 前後左右器用に大剣を使い、死角がないように、鉄壁の防御となっている。よほどの高火力の武装でないとあれを崩すのは難しそうだ。 「……来ないならこっちから行くよ」 大剣を持ったまま移動することが出来るのかと思ったけど、軽々と使っているのだから、移動も支障ないのか。 大剣を後ろに倒し、ミスズに向けて駆けていく。 ミスズの真下の近くまできて、そのまま足を曲げ地面から一気に跳躍。背中に付いたブースターみたいのを補助に使い弾丸のように跳んだ。 「……それ!」 「くぅっ!」 ミスズはあまりの跳躍の速さに回避行動が間に合わず大剣の弾丸が激突する。 持っていたハンドガンは弾き飛ばされ、持ち手と腕を使いダブルライトセイバーで盾にしたが、ミスズ自身も吹き飛ばされる。 イスカは大剣を握り直し、膝を曲げて地面に降り立つ。空中を飛ばれてても、まったく不利にもなってない。素人の僕から見てもすごく強いな。 ミスズは空中のまま木の葉のように翻し態勢を立て直す。 「このままだとやられる。ミスズ、昨日考えたのやるぞ!」 「わかりました!」 来る前に言ってたのかな? 淳平の大きな声に負けない程の声量で答えるミスズ。 光刃を消した柄をを腰のスカートに仕舞い、両手から転送されてきたのは、今度は武骨なサブマシンガンの銃二丁で、強く握りその場からもっと高く飛び上がる。 「よし、弾丸包囲だ。いけ!」 「了解。はぁぁー!」 あれが新戦法とやらなのか、サブマシンガンをイスカに向け乱発しながら、周りを縦横無尽に飛び回っている。 バババっと断続に銃声を轟かせ、空中を駆ける天使。 なるほど。 大剣では一方向しか展開できないとみて、四方八方から銃撃を加える作戦か。淳平のくせによく考えるな。これならもうちょっと学校の勉強とかにも向けて欲しいのだけど。 荒野のステージには、もうもうと土煙が立ち始め、空中を飛んでいるミスズは見えるが、イスカのいる辺りの確認がまったくできない。 サブマシンガンを撃ち切り、両者がいた付近から、できるだけ離れた位置に降り立つミスズ。全力疾走後みたいに、銃を持った両腕をダラリと下げ肩で息している。 「……はぁ……はぁ……どうでしょうか?」 「わからん」 土煙が上がり続けていて、何も反応がない。静寂が場を包む。あんなに撃ち続けていて銃声があったのに、急に静かになるとなにか不安が残る。 煙が少しずつ減ると、周りが確認できてきて……―― 「――カハァッ!」「ミスズ!!」 ミスズは目を見開き顔を苦悶にし、同時に淳平は声を上げた。 煙の風向きが丸まり、目を離した筈はないのに、突然姿を現し疾駆してきた赤目の悪魔。その手に持つのは大剣ではなく、腕部に取り付けた杭打ち機『パイルバンカー』 それをミスズの胸部、正確には鳩尾に重く突き上げていた。ボディーブローのごとく剛腕で打ち、アーマーがあるとはいえ、杭のある腕で殴られたミスズは口から空気しか出せない。 「……楽しかったよ。じゃあね」 瞬間、火花が飛び散り金属製の杭を射出。 貫かれたミスズはなす術もなく、その場の空間から掻き消えていった。 ―――― 「やっぱり、勝てなかったか」「いやでも、初めて大剣以外に使ったのを見たぜ」「ああ、バイザー取っ払った姿も初めてだし」「かなり、善戦した方だよな」「いやー、あんなアホそうな学生がねえ」 観戦していた周りのギャラリーはもう試合はないとみて、感想を口々に出しながら、バラけて行った。 画面を見ていた僕はすぐさま淳平の傍に駆け寄る。 「すいません、マスター。負けてしまいました」 「いいって、いいって。気にすんな……おう! 螢斗」 僕に気が付き、今までミスズをなぐさめていた手を止めて振ってきた。 「はぁ……なんで、勝負しかけたの?」 「だってさ、あんな試合見てたら、挑戦してみたくなるじゃん。やっぱ、まじかで見るとすっげー強いな」 「……。ミスズは、平気? なんともない?」 「はい。大丈夫ですよ。ご心配おかけしました」 「あれ~、お~い」 アホな淳平を放っておいて、僕はミスズが心配になり声をかける。やっぱり電脳空間といえどあんな杭が刺さったら痛いものだろう。あんなの物がリアルバトルなんかで使ってやられたら、絶対に神姫が危ない。最悪、死んでしまうし、武装神姫の世界でも命がけの戦いがあるんだな。 「キミたち、こんにちわ」 と、突然声が聞こえてきた。横から声をかけられたと気付き、僕と淳平は振りかえった。 見れば、向こう側にいたストラーフのオーナーの人が僕たちに挨拶をしてきてくれていた。 「さっきのでかい声にちょっと驚いたけど、結構やれるのにもっと驚いたわ」 嫌味がないように、素直に淳平の事を称賛してくれている。 また勇気と無謀を履き違えた人が申し込んできたと思ったんだろう。実際、僕もミスズはともかく淳平が指示して戦わせる姿が思い浮かばなかったからな。 「でも、ボロ負けだったじゃないすか」 「いいえ、あの突くのを囮にして本命は回転斬りのところ、結構危なかったのよ。私の指示が聞こえてなかったら、イスカは一本とられてたわ」 「え、そっちすか? 俺は弾をばら撒く作戦とか自信あったんすけど」 「あれはだめよ。相手の姿見えなくしたら、次の行動読めなくなるし、現に防ぎきっているのわからなかったでしょ。あと、いくら機動力のあるアーンヴァルでも、大きすぎる動きをしたら次の行動に支障が出るわ。だから大振りなパイルバンカーの攻撃も食らうのよ」 「ははー、なるほど。参考になるっす」 ダメだ。聞いている僕にはついていけない会話だ。バトルの意見交換をされても入り込めない。 でも、僕はこの人に用があって来たんだ。神姫バトルに興奮している場合じゃない。 「あ、あの!」 「ん? ああ。そうだったな。ええと俺は伊野坂 淳平。神姫はミスズ。こいつは長倉 螢斗です。俺の友達なんですけど、実はこいつの用事がおねえさんに会う事だったんですよ。バトルは俺のただの気まぐれで、俺の方はただの付き添いですんで」 「へぇ、私は宮本 凛奈。神姫はイスカね。ちょっと戦いすぎて今はスリープモードになっているけど。で、私に用事って、なにかな?」 違う人という可能性もあったけど名前を聞いて。この人なんだと確信した。単に似ているだけの可能性もたった今消えた。 「あの、……山猫型の神姫をなくしたりしてませんか?」 「もしかして!? あの子のことを知っているの」 「はい。つい最近拾いまして、……僕の神姫になっています」 動揺しているこの人の淡い水色の目を、真っ直ぐに見つめて言う。シオンを追い詰めることをするようには見えないけど、でも彼女は苦しんでたんだ。ちゃんとした神姫オーナーだったら悲しませるような事はしない。 「……そう。あの子……よかった」 でも、この人は僕の神姫になっていたという事に安堵していた。 「なんで!? 元々あなたのでしょ。責任持って神姫を扱ってください!」 「……おい」 「あ……すいません。……失礼な事を言いました」 おもわず声を荒げてしまった。淳平に止められなかったら言いたいこと全部をここでぶちまけていた。 「いえ、私が悪いのだし。あの子だって恨んでいたでしょ?」 「恨んでいるなんて言ってませんでしたし、逆に悲しんでいました。傍にいられなくなる程に。僕の神姫になってくれる了承もしてくれましたけど、まだ引きずっているんです」 「……そう。わかったわ。詳しく話したいのだけど、ここじゃ無理ね。私この後用事があるのよね、携帯のメアド教えてくれる? 後で連絡するから」 「わかりました」 ポケットから携帯を出して、お互いのプロフィールを送受信する。携帯はシンプルでストラップもなにもない。ぼくも、そうなんだけどね。 「あー、おれもしていいっすか?」 頭を掻いてなにやら言いずらそうにしている。まあ、僕のせいで空気が重くなってしまったし、淳平もこの空気を読んでいてくれてたんだろう。 「ふふ。まあ、いいわよ」 「そうっすか!? やったー!」 了承してくれた宮本さんに、淳平はガッツポーズをしてものすごく喜び、すぐさま携帯を取り出して操作している。美少女じゃなくても結局綺麗な女性だったら誰でもいいのか。 そして、胸ポケットには凍えるような瞳をして淳平を見るミスズが。やばいだろ、あの目は。 「あ、それじゃ。そっちの都合でいいので、後ほど連絡を。ほら、行くよ淳平」 「またレクチャーしてくださーい」 僕は危機的状況を理解してない淳平を引っ張って、ゲーセンの出口に向かう。 後ろからは「また、後で」と小さく聞こえ、それに返事をしてその場をあとにした。 前へ 次へ
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第二十話:道行姫 「僕はイリーガルマインドに苦しむアーンヴァルの声と施設の事を聞いて迷っていたよ。施設がどうなるのか、この先の武装神姫もどうなるかと」 結に支えられながら輝は俺に自らの迷いを語り始める。その顔は施設の真実を晒される事を恐れていない覚悟の決まった顔だった。 ついさっきとはまるで違っている。 「でも、こうも考えられたんだ。もしかしたら神姫も施設も両方救えるんじゃないかって」 「何をする気だ?」 「僕は証人に加わる。その代わり、施設の何も知らない人々は無関係だって事を証明して、施設が存続できるようにする」 「……一番困難な道だぞ? しかもすぐに解決できる事じゃねぇ。施設を存続させたとしても後の偏見の目だって消さなけりゃならん」 輝の選択は最も難しいものだった。 施設からイリーガル技術流出の汚名を拭い去る、言葉にすればそれだけの意味だが、実際にやるなら様々な問題が発生する。それは俺にだって列挙し切れるものじゃない様々な難題、他者の思惑が絡んでくる。 まさに茨の道、輝も思い切ったものである。 「わかってる。これは僕の戦いだ。君の手出しは無用だよ。君はイリーガルにだけ集中していればいい」 「やれるのか? 一人で」 「一人じゃないよ。僕には結がいる。石火に早夏もいる。施設のためなら何だってやってみせるよ」 その言葉を迷いなく言ってみせる。結も、石火に早夏もそれについていこうという顔をして、輝の語る姿を見届けていた。どうやらその言葉は四人で考えた真実のようだ。 俺が止められるようなものじゃない。 「ははっ。なるほどなぁ。初代チャンピオンって名がさらにサマになってきた気がするぜ」 彼らの覚悟に負けた俺は少し笑って、それを認めた。そこまで言うなら進んでもらおう。俺はその覚悟を見届けてやる。 「わかったよ。俺はイリーガルを叩いて、目の前の小さな奴らを助ける。お前は施設って大きなものを助けてやんな。足下は俺に任せろ」 「ああ」 俺は輝に敬意を表して、彼の手を取り、握手した。輝はその感触を感じ取って握り返し、それを交わした。 「いいね。男の友情っていうのは熱い! 僕も及ばずながら力になるよ。まぁ、ただというわけにはいかないけど、代金を割引サービスしてあげちゃおう」 話のキリのいい所で日暮が拍手で話を持ちかけた。ちゃっかりしているのか、本気で感動しているからそうしているのかといえば……おそらく後者だ。 その辺はしっかり『正義の味方』といった性格をしていた。 「今の声の人は?」 「正義の味方の日暮さんだ。彼に手を借りれば結構やれると思うぞ。『ハイスピードバニー』の風俗神姫騒動も解決にも貢献したからな」 「あの大事件を!? それは凄いな……」 「どうだい? 僕に君の手伝いをさせてくれないか?」 「お願いします。対価なら払います。どんな事をしてでも施設を救いたいんです」 「わかった。代金はそうだな。尊君。君に払ってもらおう」 「え?」 話が進む中、唐突に代金の話が俺の方に向いて驚いた。何をどうすればそういう話になるというのだろうか。 「そう難しい事じゃないさ。代金は君がイリーガルマインドなどの装備を押収して、それを僕に渡す事を約束してくれ。つまり、君が今やろうとしている事さ」 「なるほど。それならいいでしょう。僕がやる事は輝と違って自己満足だ。それに価値がつくなら喜んで」 「商談成立だね。じゃあ、輝君に結ちゃんだっけ? 二人で奥まで来てくれ。これからの事を話そう」 「はい」 長期戦となるであろう施設の話について打ち合わせがかなり時間がかかるのか、日暮は輝にそう言って店の奥へといなくなる。確かに他言無用な話になるのだからそうなるのも当然と俺は納得した。 その輝は入り口から結に導かれながら歩みを進めていく。その足取りは目が見えないため、周りを探るような歩き方をしているが、進むことには一切のためらいがない。 その中で俺の近くまでたどり着くとそこで輝は足を止め、気配でそうしているのか、俺の方を向いた。 「尊。ありがとう。この一歩を踏み出せたのは君のおかげだ」 「尾上辰巳だ」 「え?」 「お前等の頑張ってんのに変なプライドで本名を名乗らないわけにはいかんなと思ったんでな。改めて自己紹介さ」 「そうか。僕は天野輝だ。改めてよろしく。辰巳」 「ああ。……一歩を踏んだ後は輝次第だ。俺は俺の道、お前はお前の道をそれぞれ行こう。目が見えなくたって、もう見えてるだろ?」 「うん。行ってくる」 「おう」 短い会話が終わると輝は再び歩き出し、店の奥へと消えていった。そして代わりの店番として神姫のコアを飾るための胸像ディスプレイにヴァッフェバニータイプのコアがくっついたもの……うさ大明神様がレジの隣に現れた。 それを見届けた俺はここでの用事が終わって彼らとの約束を果たすために蒼貴と紫貴と一緒に店を出て行った。 一週間後、日暮から視覚データによる結果と輝からの連絡が来た。 あれから日暮は輝を伴って、決定的な証拠を施設の研究者に突きつけ、彼らを一網打尽にしたのだという。 これによってリミッター解放装置の販売ラインを、根元を断ち切った事になる。リミッター解放装置はこれ以上、増えることはない。後は日暮が既に流通したものを回収し、俺が既に使ってしまった、或いは買わされてしまったオーナー達から押収すれば、何とかなるはずだ。 使った後でも杉原のワクチンプログラムで何とか助けられるだろう。 施設に関しては義肢を開発していた研究所の独断として施設と研究所で切り離され、研究所のみが罪に問われる形となった。しかし、そこの神姫は改造前のは何とか解放したものの、手を付けられてしまった神姫に関しては証拠品として警察に押収されてしまったらしい。 これを聞くと神姫はまだまだ物として扱われているという事の様だ。 俺達は神姫オーナーにとっては、神姫は物ではなくパートナーだが、この日本での法では神姫は個人として認めてもらえていないのだ。所詮はロボット。物であるという訳だ。 昔の本や物語で繰り広げられているロボットの存在意義の上での答えがこれだとするなら少々悲しいものを感じる。 しかし、可能性はある。そう。輝だ。 日暮経由の彼の連絡に施設の神姫が押収された現場に居合わせたらしく、何とか説得を試みて失敗に終わり、自らの力の未熟さを痛感させられた事が書かれてあった。 後悔の思いがあったが、それには続きがある。輝はその神姫達や施設を助けるためには自分自身がそれを制するだけの力が必要と考え、弁護士として猛勉強することを決心したらしい。結と彼らの神姫もまた輝の決意についていくことにしている。 神姫で何とかするというだけではなく、大人としての力を得る事で両方を救う。どうやら、これが輝なりの答えという事の様だ。 これはすぐに解決することではないし、俺が足掻いた所で変わりはしない。せいぜい輝の相談に乗ったり、宣言したとおりに、バーグラーを狩ったりするのが関の山だ。 だが、こうして未来に続いていると感じることができるのは悪い気がしない。輝を信じる。それだけで今回の自分のやったことが無駄ではないと思えた。 「解決はしたわけじゃねぇが、いい風には終われた……か」 連絡を受けた事を思い出しながら俺は神姫センターに入っていく。今回来たのは真那と会ってしまういつもの場所ではない。そこからさらに四駅ほど進んだ先にある別の神姫センターである。 今回の事件によってばら撒かれたイリーガルマインドの流通も広範囲に渡るものになってしまっており、警察や日暮も捜索しているものの、発見するのが難しい。 俺個人でどれだけ発見できるかはわからないが、様々な場所を回って多くのオーナーや神姫を見てみたいという気持ちもあったため、こうしてイリーガルマインド回収も兼ねたセンター巡りをしてみる事にしたのだ。 秋葉原を中心とするその周辺には多くの神姫センターがある。探そうと思えば、ゲームセンターや公認ショップ含めていくらでもあるため、自分の縄張りだけでは飽き足らないオーナーと神姫達は様々な場所で修行する際には秋葉原を中心とするこの激戦区を回るのが通例だという噂を聞いたことがある。 俺は……『異邦人(エトランゼ)』の真似事をするのだからその噂通りのことになるかもしれない。素性を明かす気はない点では異なるがな。 「ミコちゃん、本当にここにイリマイあるの? イリマイがある割にはここの噂が小さい気がするんだけど……」 「……日暮さんの教えてくれた噂じゃ、ここにイリーガルみたいな神姫が破竹の勢いで勝ちまくっているってことらしい。あの人の情報網は信頼できる」 神姫センターの奥へと進む俺に紫貴が話しかけてきた。今回は日暮の情報からここに来ている。俺の蒼貴を大破に追い込んだバカ者共と似たようなクチであり、イリーガルマインドの予感しかしない。が、紫貴の言う通り、噂が小さく、それが目立たない。そこがおかしな所である。 「しかし、ここはその噂の人以外の人も強いようですね。だから、大きな騒ぎになることもないという事なのでしょうか。あの試合の人達もすごいです」 蒼貴が指差す先を見ると、大きなスクリーンがあり、それに非常に高いレベルの対戦が映し出されていた。 対峙しているのは黒い外套と身の丈はあろう化け物の様な太刀を力任せに振り回し、叩き潰すような戦い方をするストラーフタイプとスカートアーマーの内側から隠している暗器を取り出して一定の距離を保ったまま、翻弄してみせるアルトアイネスタイプの二機だった。 「You re going down!(くたばれッ!)」 翻弄されていることにプライドを傷つけられているのか、少々怒り気味のストラーフが太刀を力任せに振り回してアルトアイネスに襲い掛かる。 「それは勘弁して~。噂に聞くバラバラ戦術は痛いしさ~」 彼女は軽口を叩きながらサブアームで受け流し、そのままアーマーを展開することで飛んで爆弾による爆撃を仕掛ける。 ストラーフは太刀で着弾する前に弾き飛ばして自らのダメージを減らし、大きく跳躍して、反撃に出る。 銃を連射し、それに続いて一戦しようというオーソドックスな攻め手だ。銃の弾はアルトアイネスの翼を形成するスカートアーマーを弾いて体勢を崩させ、動きを硬直させるとそのまま太刀の一閃を放つ。 「危ない危ない」 いつの間にか取り出した大剣ジークフリートでそれを防御する。ストラーフはそのまま、力を入れて叩ききろうとしたが、いかんせん空中にいるため、力を入れられず、そのまま地面に着地し、次の一手を打つために追撃を仕掛けてこようとしているアルトアイネスに向かって太刀を構えた。 「確かにレベルが高いな。これからこういう奴らと戦うのも悪くない」 拮抗状態の続く戦いに俺は感心した。ここまでのバトルが見られる上に互いに隙を見せずに攻撃を繋ぎ続けているだけ実力を持っていた。あれだけの力があれば万一、イリーガルマインド装備が出ても何とかできるかもしれない。 どういう奴らなのかと対戦の映像の隣の対戦者のデータを見てみる。ストラーフタイプはフランドールという名であり、オーナーは三白眼と長めの黒髪をサイドテール、黒いパンク調の服とシルバーアクセが特徴的なガラの悪そうな咲耶という名の少女だった。 彼女は噂を聞いたことがある。何でも相手が弱いと判断すると、弄んで潰すという戦い方から非難の声が上がるという悪評である。しかし、ランクに反して強いことから有望であるという見方をする人もおり、注目されているらしい。 一方、アルトアイネスタイプはメルという名前だった。オーナーは祥太という気さくな印象のある青年だった。特に噂を聞いていないため、未知数だが、フランドールを翻弄することができるという点では彼らもそれだけの実力をつけ始めていると見ていいだろう。 「ねぇ。ミコちゃん、あれ」 「あ?」 対戦を観戦している時に紫貴が俺に声をかけて指をさす。その先を見ると甘ロリ系な女の子が二人の青年に囲まれているのが見えた。 「おい。梨々香ちゃんよ。遠野のチームメイトだったよな?」 「な、何よ……」 「俺達は最近、三強を倒して調子に乗ってる『ハイスピードバニー』のチームを狩ってるのさ。遠野や『異邦人』を引きずり出すためにまずは弱そうなお前からやろうって話になったんだよ」 どうにも彼らは『ハイスピードバニー』……恐らくは遠野貴樹のチームを潰そうと考えているらしい。事情はよくわからんが女の子を男二人で襲おうとするその現場は見苦しいことこの上ない。 「やめてよ! 二対一なんて……」 「関係ないね。『玉虫色』を倒したのも初心者だ。ここで勝ちまくったが、油断はしねぇ」 「そうそう。やるなら全力ってな。ははは」 「そうだな。やるなら全力……二対二だな」 傍まで近づいた所で俺は男二人の話に割って入る。 「あ? 誰だてめぇは」 「俺はただのオーナーだ。……覚えておかなくていい。どうせお前らが負けるんだからな。トラウマになりそうなものがなくなっていいだろ?」 「ふざけるな! こいつは後回しだ。この野郎をやるぞ!」 「おう! そこのバーチャルバトルに来い!」 「そうこなくっちゃ……」 挑発をするとすぐに釣れた。さすがはチンピラ。単純で助かる。 そう、ほくそ笑むと俺は彼らの言うことに従ってバーチャルバトルなるものに向かう。今回のはエルゴにおいてあったシミュレーションバトルによる戦闘という事になるようだ。 自分のブースに着くと蒼貴と紫貴を二つのアクセスポッドに乗せて接続する。向こうでは俺が一人で二体操ろうとしている事をバカにしているのか、笑いながら各々の神姫をセットした。 それによってバーチャルシステムは起動し、オフィシャルバトルの準備が完了し、ディスプレイの向こう側にそれぞれの神姫が出現する。 相手はヴァローナタイプとガブリーヌタイプだ。それぞれ純正装備だ。ただし、両方が首にイリーガルマインドを装備している。何とかこれを回収しなくてはならない フィールドは草原。遮蔽物もないその場所は純粋な戦闘力が試されるだろう。 『Ready……Fight!!』 ヴァローナが先行し、ガブリーヌが援護射撃しつつ、前進する普通の戦法を取ってきた。 「蒼貴、紫貴。すぐに沈める。まずはヴァローナをやる。蒼貴は苦無で拘束、紫貴は射撃からブレードで斬り捨てろ」 対して俺は速攻の指示を出す。女の子を再び襲うのをためらわせるほど、速やかに倒す必要がある。圧倒的な力の差という恐怖。それがこの戦いのテーマだ。 蒼貴と紫貴はそれを聞き、行動に移す。蒼貴は接近してくるヴァローナの四肢に苦無を、紫貴はアサルトカービンをそれぞれ放つ。飛んでいく苦無は足を止め、弾丸がひるませ、ヴァローナを無防備状態にする。 「はっ!」 そこをすかさず紫貴がエアロヴァジュラで切り裂く。ヴァローナは何がおきたのかもわからずに声を上げることもなく地面へと倒れた。 その直前、蒼貴は首からイリーガルマインドを奪う。これでヴァローナのイリーガル化は防げる。 「この野郎!!」 早くも相方を失ったガブリーヌはイリーガルマインドの力を使った。それにより彼女の額からユニホーンが生え、紫色のオーラを放ち始める。 「これで決まりだ。紫貴、バトルモードで接近して拘束。蒼貴、紫貴に乗って塵の刃の用意」 「はい!」 「了解」 予想通りの展開からの次の指示につなげる。ヴィシュヴァルーパーに変形した紫貴に蒼貴が騎乗し、接近の間に塵の刃を鎌と苦無にまとわせる。 ガブリーヌは重装備に物を言わせて接近してくるまで拳銃を撃ち続け、接近したらいつでも殴れるようにナックルを構える。 銃撃を避けながら、紫貴が接近するとガブリーヌはナックルで紫貴本体を狙った一撃を仕掛ける。 しかしそのとき、違和感に気づいた。そう。蒼貴がいない。 攻撃を紫貴に仕掛けながらも目だけで蒼貴を探していると……上にいた。 「なっ!?」 ガブリーヌは驚きながらも紫貴に攻撃を続けようとするが、彼女は変形解除をして、サブアームで受け止め、拘束する。 「今よ! 蒼貴!」 「せいやっ!」 気づいた時には既に遅く、宙を舞う蒼貴が塵の刃をまとった苦無でユニホーンを切断し、鎌で腹を引き裂く。そしてとどめとしてイリーガルマインドを奪った。 その瞬間、それの効果が失われ、ガブリーヌは効果が切れて砕け散る塵の刃のかけらが舞う中で地面に伏す。 『You Win!!』 ディスプレイに勝利画面が表示される。それが表示されるまでのタイムは一分とかかっていない。一蹴とも言うべき戦果だ。向こう側にいる男二人はイリーガルマインドを使っているのにこうなってしまった事に動揺していた。 それもそうだ。神姫のせいとかそういうレベルではない。実力を発揮する前に終わってしまったのだから。 「ど、どうなってんだよ!? てめぇ! チートでも使ってんじゃねぇのか!?」 「そりゃお前らだろ。そのイリーガルマインド、俺が追っている違法パーツなんだよ。わかってて使ってるのか?」 「なんだと!?」 「すぐにそれを外せ。お前たちの神姫が苦しんでいるぞ」 チートと騒ぐ男二人にイリーガルマインドの副作用について指摘すると彼らは自分たちの神姫を見た。神姫達は例によって副作用で苦しんでいる。バーチャルバトルではどうなるのかと思ったが、どうにも架空も現実も同じであるらしい。 「な……」 「どうなってんだよ!?」 やはりというべきか彼らは知らず、副作用に驚いていた。この装置の副作用は全くと言っていいほど、説明されないケースが多い。このパターンはよく見る。 「それが原因だ。そのまま捨ててしまえ。でもってホビーショップエルゴにいきな。有料で直してもらえるからよ」 「お、覚えてろ!!」 「由愛~~!?」 自分の神姫を持って逃げるように去っていった男二人を見送ると置かれた二つのイリーガルマインドを拾う。見ると本当に本物のイリーガルマインドに見える。これがただの演出で済めばどんなに良いことか。 「こんな下らねぇもん使ったって、強くなんてなれねぇのに何やってんだか……」 ため息を付きながらそう呟く。 こんな調子でイリーガルマインドを狩っているが、それを持っているやつは大抵がその性能に魅入られている馬鹿か、知らないアホ、あるいはその両方の三択だ。 二番目なら救いようがあるが、それ以外なら話にもならない。痛い目を見るまで使い続けてくれるから困る。少しはうまい話なんてないことぐらい考えてほしいし、それで神姫が犠牲になったらどうするのかを考えていただきたいものだ。 これ、あるいはこれに類する違法パーツが横行したらどうなるかを考えると今の武装神姫は危ういラインにいるのだろうか。 「あの……助けてくれてありがとうございます」 「気にすんな。こっちもこいつを回収するのが仕事なんでね」 考え事をしていると瞬く間に倒した俺達に助けた梨々香という甘ロリ系の女の子が話しかけてきた。肩にはポモックタイプの神姫が乗っている。見た感じは特に目立った改造もない純正装備だった。このまま、絡まれていたらまず間違いなく、手痛い目にあわされていただろう。 「あの……オーナー名の尊ってもしかして双姫主の尊さん?」 「いや、俺は……」 「その通りです」 何とか名乗ることを避けようとしたが、蒼貴に肯定されてしまった。 墓穴を掘らされていつものこのザマだ。困っている奴らをほっとけないだけにこのパターンは引っかかりすぎる。 「そうよ。ミコちゃんはね。双姫主として雑誌にも載っちゃった超かっこいいオーナーなのよ? すごいでしょ?」 「やっぱりそうなんですか! あの戦いがデュアルオーダーの……遠野さんのやってた通りなんだなぁ……」 紫貴が無茶苦茶脚色を付けた事を言うと梨々香は感激したらしく、紫貴の言葉に頷く。 「おい。こら。何、勝手に晒してんだ。しかも尾ひれを付けすぎだろ」 「雑誌に載った時点でアウトでしょ?」 「うるせぇ! 素性が載ってねぇからまだ何とかなるはずなんだよ!」 「いいじゃない! 減るもんじゃないし!!」 「あんだと!?」 「あの……!」 すっかり正体をバラされて怒る俺とかっこつける紫貴が口喧嘩を始めようとするとなにやら勇気を振り絞ってる様子の梨々香が口を挟んできた。 「どうした?」 「私に戦い方を教えてください! さっきみたいなことになって、チームの皆の足手まといになりたくないんです!」 「遠野さんってのに教えてもらえばいいんじゃねぇか?」 「遠野さんにはもう弟子がいるし……。勝ち負け関係なく楽しんでるけど、こんな事、情けなくって周りに言えないよ……」 話から察するに梨々香は遠野のチームに所属はしているものの、勝ち負け関係なくバトルロンドを純粋に楽しんでいる奴であるらしい。しかし、この一件で自分でも戦えるようになりたいと思ったらしいが、周りにはそういう奴だと思われていて言いにくい。だから、見ず知らずの俺にまずは教えてもらおうと考えているらしい。 ぶっちゃけ、恥をかなぐり捨てて知り合いに教わった方が進歩が早いと思うのだが、どうしたものか……。 「……オーナー、教えてあげてはいかがでしょう?」 「ミコちゃん、そうしようよ。真那にだっていつも教えてるんだし、慣れっこでしょ?」 「……仕方ねぇなぁ。わかった。その代わりといっては何だが、『ハイスピードバニー』の事を知っている範囲でいいから聞かせてくれ。興味があるんでな」 「ありがとうございます!」 「梨々香ってんだったか? 俺は厳しいぞ?」 「はい!」 梨々香の真剣な態度に感心する蒼貴と紫貴にも逃げ場を塞がれた俺は逃げることを諦め、梨々香に俺のバトルの経験を教えることに決めた。デュアルオーダーは無理でも普通の戦い方ぐらいは教えられるだろう。……真剣な気持ちを無碍にできんしな。 まぁ、こうやって動き回れば梨々香のような良い奴にも会える。こういう奴らがいるからこそ、武装神姫という舞台がマシな方向にも向かうことができる。 その可能性を1%でも高めてやるのが俺らにできることなのかもしれない。 それで武装神姫が良くなるなら俺の行動も無駄じゃないし、輝や別の場所で戦っている誰かもまた頑張っていられるだろう。 この手ほどきも何かの役に立つことを願って、やってみるか……。 第三章『深み填りと盲導姫』-終- 戻る トップへ
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第8話 「初戦」 「ンなーっはっはっはっはァ! ぅワガハイの最高傑作! バイオレント・ブラック・バニー! 略してB3(ビー・キューブ)よ! 今日は最高の成果を期待しておるぞォ!」 「サー、コマンダー」 「……なぁ、神姫のオーナーってのは皆あんなテンションなのか?」 「……私は今まで以上に遼平さんの事が好きになれそうです」 武装が揃ってから更に3日。 ネットで行える簡易バーチャルトレーニングで大体の動き方をマスターした俺とルーシーは、いよいよ初の実戦に参加する事にした。 ……と言ってもそう大げさな話じゃない。 今や武装神姫を扱った店は街のそこかしこにあり、神姫オーナーであればいつでも参加できるシステムを設置している店もあるのだ。 休日なんかにはちょっとした大会が開かれる事も多いようだが、普段行われるのは公式トーナメントやリーグ戦みたいなモノじゃなく、個人同士の草バトルって所だろう。 で、そんな俺たちの初陣の相手が、さっきからハイテンションで大騒ぎしてるオニイチャンってワケだ。 年は俺より少し若いくらいで、なんだかヘンなシミだらけのズボンにベスト、ご丁寧に頭には同じ模様のハチマキをしてる。 「アレはシミではなくて都市迷彩です。 それにハチマキじゃなくてバンダナですよ」 ルーシーが小声で注釈を入れてくるが、俺はそういうのに詳しくないんだって。 ま、そういう事に疎い俺でも分かるくらいにあからさまなファッションの軍隊フェチだった。 「退くな媚びるな省みるな! 敵前逃亡は問答無用で軍法会議! 兵士に命を惜しむ事など許されぬ! そう、お前の前に道はなく、お前の後ろに道が」 「そろそろ選手のご登録をお願いしたいのですが宜しいですか」 「あ、ハイ」 天井知らずに上がりっぱなしのテンションは、店員さんの必要以上に事務的な口調に大人しくなった。 っと、こっちにも来た。 「それでは、こちらにオーナー名と神姫のパーソナルデータ入力をお願いしますね」 キツめな感じの美人さんだけど、さっきと違ってにこやかだ。 どうやら店員さんもアレはやかましいと思ってたらしい。 えーっと、そんじゃ… オーナー名:藤丘 遼平 武装神姫:TYPE DEVIL「STRARF」 ニックネーム:ルーシー と、こんなトコかね。 『それでは両者、スタンバイ!』 さっきの店員さんによるアナウンスが入る。 「ビィィィ!キュウゥブッ! んGoGoGoGoォオゥ!!!」 「サー、コマンダー」 「んじゃ行くか、ルーシー?」 「ハイ。 あなたとなら、何処までも」 ……何処で憶えてくんのかね、そういうセリフ。 崩れたビルの立ち並ぶ廃虚をステージに、バトルはスタートした。 まずは索敵からか。 「相手のバッフェバニーは遠距離戦闘重視の重火器装備型…『ガンナー・ブラスター』です。 早めに接近しないと厄介ですね」 「初陣が真逆のタイプってのは嫌なもんだな」 「負ける気はありません…前方に反応」 緊張した言葉とほぼ同時、ビルとビルの隙間を縫うようにして何かが迫ってくるのが目に入った。 一瞬戸惑った俺が命じるより早く、ルーシーは大きく跳んで回避行動を取っていた。 着弾。 閃光。 爆発。 「…ミサイル?」 「誘導式ではないので、正確にはロケットですよ。 妄想スレ第2段の198さん、ありがとうございました」 「誰?」 「こちらの話です。 …来ますよ」 崩れたビルの残骸を乗り越えて敵が姿を現す。 左肩にはバズーカ砲、ロケットポッドを右肩に。 両手にはそれぞれガトリングガンと大ぶりのコンバットナイフを携え、のっしのっしと歩みを進めてくる……その顔は赤いスコープにガスマスクのせいで表情が読めない。 『ンなーっはっはっはァ! そこな新兵! こそこそ隠れて様子見とは兵士の風上にも置けぬ奴! このB3とワガハイが、フヌケた貴様らに戦場における鉄の掟というモノを叩き込んでくれるわっ!』 あーうるせぇ。 「ドンパチのルールブックにゃ不意打ち上等って書いてあんのか?」 『ムっふっフーン、モノを知らぬ奴め。 この世には『勝てば官軍』というすンばらしい言葉があるのだ! 勝った者にのみ全ての権利が与えられる! 即ちルールを決めるのもまた勝者! つまりすなわち勝利は勝ぁぁぁぁぁっつッ!』 「サー、コマンダー」 ……本格的にワケ分からんなお前ら。 「ま、向こうさんから来てくれたんなら探す手間が省けたな」 「そういう事を言ってる場合ですか」 すいっ、と持ち上げられたガトリングガンが狙いを定める前に、再び跳躍。 弾丸の雨が虚しくビルの壁を穿つのを尻目に、着地したルーシーがこちらに尋ねる。 「どうしましょう?」 「初の実戦なんだし……ここはやりたいようにやってみ」 「……了解」 『むヌぬっ、敵の眼前で作戦会議とは悠長な! 静かにせんかァ! ここは戦場だぞォ!』 相手オーナーの怒声を無視し、前傾姿勢になったルーシーは距離を詰め始めた。 ロケットポッドが迎撃を始めるが、最初の攻撃で誘導式でないと判っている。 最初から当たらない位置のモノは完全無視、被弾する位置にあるモノはサブマシンガンで撃ち落としていく。 その間、視線は相手に固定したまま。 『「なにー!?」』 くそ、向こうと俺の声がカブった。 つかルーシー、お前ちょっとスゴい? 距離が縮む事を嫌ったB3は後退を始めるが、なにしろこっちとは「一歩」の長さが違う。 あれよあれよと言う間に戦闘は至近距離でのそれに移った。 向こうもこの距離ではガトリングガンの取り回しは不可能だと悟り、もう1本コンバットナイフを取り出しての2刀流に切り替えた。 こっちもナイフ2刀流で斬り結ぶ! ……が、ルーシー自身の両手は空いているワケで。 サブアームが相手のナイフを押さえつけている間に、ひょいと掲げたサブマシンガンを相手の顔面に向けてブッ放しやがった。 ががががががっと派手な音がして頭が何度も揺れた後、B3は仰向けにぱったりと倒れた。 『んンNoおぉぉぉおおぉぉうッ!? B3! 応答せよびぃきゅうぅぅぅぅッぶ!』 「ルーシー、お前それちょっとエグい」 「勝てば官軍、負ければ賊軍……勝負の世界は非情なのですよ」 『衛生兵! えーせーへーえぇぇぇぇぇ!!!!』 しれっと言ってのける15センチ足らずのオモチャ。 コイツはやっぱり悪魔かなぁと思って嘆息した俺の視界で、動くものがあった。 「ッ……、」 どごおぉぉんっ! 突然起こった爆発に、俺の口から出かけた言葉が止まった。 スコープとガスマスクがダメージを緩和したのか、大の字になったB3の肩にマウントされたバズーカ砲から煙が昇り、射撃直後を物語る。 そして濛々と爆煙に包まれているのは……ルーシーの頭部付近。 「ルーシーっ!」 背筋の凍るような思いが俺の口を再び動かす。 「返事しろおい!」 「無事です」 冷静な声が響き、風に吹き散らされた爆煙の中からススけたルーシーの顔が見えた。 顔周辺のダメージはそんなものだが、片方のサブアームが手首の辺りから吹き飛んでいる。 どうやらそれを盾にして直撃を防いだらしい。 それを見てもB3は追撃しないし立ち上がらない。 どうやらバズーカは1発きりで、さっき与えた頭部への衝撃はオートバランサーか何かに影響を与えたらしい。 実質、勝負はここで決着ってワケだ。 ほっとした俺、ぽかんとしている相手オーナー、悔しげな表情のB3、無表情のルーシー。 なんだか妙な沈黙の後、ルーシーはおもむろにしゃがみ込んでB3のそばに膝を着くと、残ったサブアームを動かし始めた。 その手に握られているのは、ほとんど使う事もなく無傷に近いアングルブレード。 「はいはいストップストップ、もう終わっただろ。 こっちの勝ち」 俺の言ってる事を聞いているのかいないのか、ルーシーは見せつけるようにブレードを振り翳したまま動かない。 「こら、あんま脅かすなって」 刃に照り返る陽光を受けたB3の顔に、はっきりと恐怖の色が映る。 「ルーシー」 ぐっ、とアームデバイスのシリンダーが動く。 「やめろバカ!」 制止の声と風を一度に裂いたブレードが、鋭い音を立ててコンクリートの床に突き立った。 ……丸く湾曲した刃と床の隙間に、B3の白い首筋が挟まっている。 顔を上げれば、相手オーナーが白いハンカチを必死に振る姿があった。 「ンんバカモノおぉぉっ! 勲章ではなく命ひとつを持ち帰れば良いと教えたはづだろぉがっ!」 「サー、コマンダー」 「試合前と言ってる事が違うんだが……」 「アレがあの人たちの絆の形なのでしょう」 ひしと抱き合う(?)2人を眺めて、にこにこ笑顔のルーシー。 ……ホント、あの氷みたいな目ェしてた奴とは思えんね。 「……ちょっと、興奮しました」 俺の視線に気づいてか、わずかに肩を落とした。 人間で言えば『カッとなった』んだろうが……あんまコイツは怒らせない方がいいかも知れない。 「今、何か失礼な事を考えましたね?」 「いぃえぇメッソーもない」 「怪しいです」 「最愛のパートナーに信じてもらえないとはツラいなぁ」 ちゃかしたセリフに、テレたように小さく微笑む。 「最愛、ですか……嫌わないでくださいね」 「つまんない心配しない」 あっちほど熱烈じゃないが、こっちもちょっとイイ雰囲気。 ひとしきり泣いたり感動したりして気が済んだのか、向こうのオーナーが握手を求めてやってきた。 胸ポケットからはB3が覗いている……ちょっと微笑ましいな。 「いやいやいや諸ォ君! 今回は良い勉強をさせてもらったぞぉ!」 「ま、こっちも楽しかったよ。 ちょっとヒヤっとしたけどな」 「うむ! 記念すべき初陣を勝利で飾れなかったのはヒッジョーォに無念ではあるが、今日この日の戦いはワガハイとB3の輝ける第1歩として生涯この胸に刻もうぞ!」 「お前あんだけ偉そうな事言っといて自分も初心者かコラ」 バカ笑いするミリタリーマニアから視線をそらすと、ルーシーがB3の頬をそっと撫でている所だった。 「さっきは怖がらせてごめんなさい。 貴女の心優しいオーナーに、最大限の感謝を忘れずにね」 「……イエス、マム」 ルーシーの柔らかい微笑みと、風にかき消されそうなB3の声を幕に、俺たちの初陣は終わった。 「ついでにそちらのオーナー。 差し出がましいようですが『バイオレント』は『Violent』で頭文字は『B』ではありません。 その子の為にも早めの改名をお奨めします」 「ンなんとぉーっ!? ワガハイ一生の不覚ぅッ!」 「サー……」 その後、彼の神姫は『バーニング・ブラック・バニー』に改名したとかしないとか……ちゃんちゃん。
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前へ 先頭ページ 次へ 「固執」 仰向けに寝ながら、神姫スケール換算地上千メートルを、高速巡行するマイティ。 手足には軽量で対実弾防御力のあるカサハラ製鉄ヴァッフェシリーズのプロテクターを着込み、クリティカルな胸部には同梱装備のアーマー、頭にはヘッドセンサー・アネーロをかぶる。 右手はミニガンではなく、アルヴォPDW9。アーンヴァルの実弾射撃武装はどちらもケースレス方式をとっている。飛び出した薬莢が飛行機動を阻害する恐れがあるためだ。とくに高速移動時にその弊害が見られ、だからミニガンは飛行時に正面へ撃つことができない。 背中のウイングユニットには、ありとあらゆる推進装備がくっつけられている。エクステンドブースター、ランディングギア。そしてヴァッフェシリーズのスラスター。融通の利く動きはほとんどできないが、一方向に集中したノズルは莫大な推進力を生み出す。アラエル戦のバトルプルーブを経て、各パーツの配置が一新され、よりパワーロスが少なくなった。 翼の一方に、バランスの低下を承知で、LC3レーザーライフルを搭載していた。この装備方法では飛んでいる方向にしか撃てない。巡行武装だと割り切っている。 ここはホビーショップ・エルゴの対戦ブースである。このたびの大改装でセカンドリーグにも参加できるようになり、マスターは二駅をまたぐ必要がなくなったのだった。 スペースでは対戦相手がいない場合、こうして一人でテストモードが出きる。トレーニングマシンが普及してから使われなくなった機能だが、現在でも律儀に入れられている。 「どうしてトレーニングマシン、使わないんです?」 店長が訊いた時、 「実戦に使われるフィールドの方が役に立つ」 とマスターは答えた。 確かにトレーニングマシンと実際に試合に使用されるフィールドには若干の差がある。しかしそれは本当に若干なもので、だから皆将来的な経費が押さえられるトレーニングマシンを買うのである。 マスターの家にも無論、トレ-ニングマシンはある。 「マイティ、どうだ」 バーチャル空間の中を飛び回るマイティに話し掛ける。 『やっぱり空気の重さが違います。マシンでできたような無茶な機動が、たぶん出来ません』 バトルスペースのマシンパワーに、やはりトレーニングマシンはかなわない。戦闘中はだいたい高速で動く神姫には、この差は場合によっては致命的な差となる。 マスターもマイティも、今、一種のマンネリを覚えていた。 バトルの成績は悪くはない。ファーストへの昇格はいまだ高嶺の花だが、それでも順当に戦えている。 バトルのアクセス料金、マイティの武装代、メンテナンス料金、武装神姫というカテゴリにかかる料金はすべて、いわゆるファイトマネーでまなかうことが出来た。 余談ではあるが、この「勝てばそれなりに報酬がもらえる」という制度が実現したことが、武装神姫の世界的な発展につながった一翼を担っていると言っても過言ではない。実現にあたっては「ゲームがけがれる」とか「ギャンブルだ」などという辛辣な批判ももちろんあった。 しかし結果として、良い方向に実現した。 第三次世界大戦も起こらなかったし、宇宙人の侵略もなかったのだ。ゲームに報酬が設定された所で、なんのことがあろうか。と、人々が思ったかどうかは分からないが。 閑話休題。 ともかくそれでも、何か初期のキラキラした感覚が鈍くなってきていることは、お互いに分かっていた。 その対処法が分からない。 結局問題は棚上げで、今に至る。 『Here comes a new challenger』 ジャッジAIが挑戦者を告げる。 テストモード中はオンラインオフラインに関わらず、対戦受付はオープンにしてある。当たり前だがシャットアウト機能は無い。対戦スペースにいるのはすべからく対戦許可とみなされるのだ。 相手はオンラインからだった。 『よろしくお願いします』 当り障りの無い挨拶。女性らしい。 「よろしく」 マスターは適当に答える。 相手はセカンド。大体自分と同じような戦績。いや。 最近特に伸びてきている。 マイティがいったん待機スペースへとリターン。 『どうします?』 「例の機能を使ってみようと思う」 『じゃあ、初期装備はこのままですね』 「なるべく広いフィールドの方が良いが、狭くてもすぐ対応できる」 『分かりました』 マイティ、準備完了。 すぐに周囲のポリゴンがばらばらになり、フィールドが再構成される。 『バトルスタート。フィールド・地下空間01』 広大な空洞。高さもあるが、下は一面湖だった。所々に浮島があり、またいたるところに石の柱が立っている。 一方の入り口から、マイティが巡行飛行状態で入場。 もう一方から入ってきたのは、ストラーフタイプだった。 かなり軽装である。 ヴァッフェシリーズのブーツを履き、大腿と手首には同根装備のスパイクアーマーをそれぞれ取り付けている。胸部はハウリンの胸甲・心守。 頭部にフロストゥ・グフロートゥ、二の腕にフロストゥ・クレインを装備しているが、あれでは武器を使用できない。アクセサリーと割り切っているのだろうか。 主武装が新装備のサイズ・オブ・ザ・グリムリーパーと、二体のぷちマスィーン、肆号とオレにゃんしかなかった。プチマスィーンはどちらも射撃用のマシンガン。 何よりも特徴的なのは、メガネをかけていることだった。 「軽装備……?」 それに装飾が過ぎる。 マイティは疑問に思った。 『何か仕込んでいるのかもしれない。気をつけろ』 「了解」 そのまま巡航で近づく。ためしにレーザーライフルを二、三発撃ってみる。 ストラーフが消える。 「!?」 『光学迷彩だ。センサーをサーマルに切り替えろ』 「は、はい」 「はっずれ~♪」 真上から声が聞こえた。背筋が一気に凍りつき、マイティは慌てて後方にマシンガンの 銃口を向けようとする。 がごんっ 胸部をしたたかに打たれ、マイティは失速。落下した。 「な、なに?」 マイティは何が起こったのか分からず混乱した。姿勢を制御するのを忘れる。 『マイティ、機体を起こせ!』 はっ、と気づいてフラップを最大限に傾ける。 水面すれすれでマイティは水平飛行に移る。水しぶきが上がる。 胸部アーマーがべっこりとひしゃげていた。ストラーフは鎌の背でなく、刃で打った。アーマーが無ければ負けていた。 「マスター、今のは!?」 『分からん。瞬間移動に見えた。今解析している』 『調べても無駄よ』 相手のオーナーが言った。 『本当に瞬間移動ですもの』 『何?』 マスターのモニターに相手の画面が現れた。眼鏡を掛けた黒髪の女性。 『公式武装主義者(ノーマリズマー)のマイティに会えて嬉しいわ』 『もう二つ名がついているのか。光栄だな』 『セカンドながらあの鶴畑を倒した実力派ですもの。神姫に入れ込んでいる人間なら、だいたい知っているわ』 『さしずめそちらは特殊装備主義者(スペシャリズマー)というわけか。マイティ』 「は、はい」 『装備Bに切り替える』 「分かりました」 マスターがコンソールを操作する。 マイティはウイングユニットを丸ごと切り離すと、浮島の一つに着地。シロにゃんにコントロールが移ったウイングユニットは、ランディングギアを浮島に落とす。 『サイドボード展開。装備変更』 マイティの脚からブーツが消え、代わりにランディングギアが瞬時に装着される。肩と大腿のプロテクター、そしてひしゃげた胸部アーマーがポリゴンの塵と化し、ふくらはぎのアクセサリポケットが肩に移動。 武装にも変更が加えられた。アルヴォPDW9が消失し、カロッテTMPが出現。 左手首のガードプレートが、右手首同様ライトセイバーに代わる。 予備武装としてランディングギアにバグダント・アーミーブレードを装備。 最後に、天使のような翼が背中から生える。「白き翼」だ。 『飛び方は覚えているな』 「はい。さんざん練習しましたから」 『よし、行け』 ひと羽ばたき。それだけで、マイティは相手のストラーフの立つ浮島へ急速に接近した。 バララララララ 接近しつつTMPを撃つ。 ストラーフはまたもや消失。真左に反応。 左を向いて確認する隙も惜しんで、マイティは反射的に左手のライトセイバーをオン。そのまま切り付ける。 「おっと」 ストラーフは、上、に避けた。 間違いない。こいつは飛べるのだ。 どうやって? 『原理は不明だが瞬間移動が主な移動手段だ。姿勢制御による若干の移動を、頭と二の腕 のブレードと手足でやっている』 マスターが解析した。 なんて飛び方! 後方からがっちりと拘束される。 「おしまいね」 ストラーフがくすっ、と笑う。 鎌が首筋に当てられようとする。 マイティは両肘で相手の腹を打つ。 「やばーん!」 飛び去りながら、ストラーフが叫ぶ。 「うるさいっ」 マイティはTMPを精密射撃。 しかし鎌をくるくると回転させ盾にされる。 二体のぷちマスィーンズが反撃の連射。 マイティは白い翼を前方で閉じる。 翼の表面に銃弾が当たる。が、ダメージは無い。翼は盾にもなるのだ。 「ばあ」 翼を開いた途端、目の前に舌を出したストラーフ。瞬間移動だ。 ガキンッ! 突き出された鎌を、TMPで受ける。TMPは壊れて使い物にならなくなった。 ライトセイバーを伸ばす。ストラーフはあろうことかぷちマスィーンを盾にして後退。マスィーンズは爆砕。ポリゴンになって消える。 「マスター、瞬間移動のパターンは!?」 『今のところ直線距離でしか移動していない』 つまりいきなり後ろに回り込まれることは無いということ。だが、横に移動した後、後ろに、と二段階を踏めばそういった機動も出来てしまう。 あまり意味が無い。 「そうよ、この瞬間移動は自由自在なのよ」 マイティの懸念を見透かしたかのように。ストラーフは笑った。 「しかも」 真横。 「何度も使えちゃう」 真後ろ。 「くうっ……!」 マイティは宙返り。ランディングギアでオーバヘッドキックを浴びせる。 「きゃんっ!?」 頭に命中。ストラーフは急速に落下する。マイティはアーミーブレードを両手に装備。 「やったわねぇっ」 浮島を蹴り、目の前に瞬間移動。 予想通り! マイティはブレードを振り下ろす。f 瞬間移動した直後は瞬間移動できない。当てられる! しかし、ストラーフは消えていた。 「予想通り」 頭上から声。姿勢制御による限定機動! 「お返しよ♪」 頭をぶん殴られ、マイティは一瞬気を失う。 屈辱。殴られるのは一番そう。これは人間も神姫も変わらなかった。 「シロにゃん!」 「にゃーっ!」 いつのまにか接近していたウイングユニットがストラーフに体当たりを仕掛ける。 「そんなハッタリ無駄!」 ズバッ 鎌で一刀両断。ウイングユニットは消えてしまう。 『主義と固執は違うのよ』 ストラーフのオーナーが言う。 『何を……』 『通常装備だけではおのずと限界がある。あなたも薄々感づいているはず』 『何が言いたい』 マスターは苦虫を噛み潰したような顔をした。 『あなたの実力ならファーストには行けるでしょう。でも、ファーストでは固執は許されないわ。認められたあらゆる手段を使わなければ勝てない場所よ』 『アドバイスのつもりか』 『あなたがあの片足の悪魔と戦いたいのなら、ね』 『……!!』 その名前が出てきたことに、マスターは驚きを隠せなかった。 モニターから嫌な音がした。 ストラーフの鎌が、マイティの額を刺し貫いていた。 驚愕に目を見開くマイティ。ポリゴンの火花を撒き散らして、消滅。 『試合終了。Winner,クエンティン』 マスターは初めて、相手の神姫の名前を知った。 マスターはしばらく、コンソールに手をつきながら前を見つめていた。 ハッチの開いたポッドに座り込みながら、マイティはおどおどするしかない。 「帰るぞ」 唐突にそういわれたので、マイティは立ち上がる際転びそうになってしまう。 ねぎらいの言葉を掛ける店長も無視して、マスターは足早に店を出た。 了 前へ 先頭ページ 次へ
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与太話5 : 参上! 正義の戦乙女!! 「この手が望むは強敵との勝負!」 鉛色のコートが虚空に靡く。 「C・S・Cに誓うは主の勝利!」 輝く双剣が映し出す絶対的な修道女の影。 「阻む黒雲切り開き、勝利を掴む古の血統ッ!」 機械仕掛けの脚が鉄の運命を踏み砕く。 「正義の戦乙女――」 見開かれた双眸が蒼き炎を灯した。 「エル参 「遊んでないで真面目にやってよエル姉!」 コタマが操るホイホイさん、巨大なガントレットを両腕に付けた【ファースト】の攻撃範囲から逃れ下がってきたメルに名乗りを遮られ、エルはプクゥと頬を膨らませた。 「せっかく徹夜で覚えたんですから邪魔しないで下さい!」 「徹夜!? そんなことする暇があったらコタマ姉の対策の一つでも考えてよ!」 言いつつ、メルは決めポーズのままつっ立っていたエルを抱えビルの影に飛び込んだ。直後、二人がいた場所を二発の弾丸が、空気を貫くようなゾッとする音を残して通過した。 「少し漫画で目立ったくらいで図に乗ってんなよコラァ!」 続け様、コタマはもう一体のホイホイさん【セカンド】に二人が身を隠した壁面を撃たせた。神姫の身長より長い大型対物ライフルで壁を粉砕できるとはいえ、この銃撃はエルとメルを狙ったわけではない。威嚇のつもりもなく、ただ、コタマは腹を立てていた。 エルが徹夜で読んでいた漫画をコタマも読み終えていた。漫画の中で目立ちに目立ったアルトレーネとは対称的に、ライト級神姫は小動物二匹がたった1ページ登場しただけだった。ハーモニーグレイスは前巻でオマケのような扱いだった。 コタマはライトアーマーという格付けそのものに不満を持っているわけではなかった。自身、ファーストとセカンドを除けば、装備品は姫乃お手製の修道服と糸を伸ばした二つの十字架だけである。 だがその扱いが許せなかった。漫画の中でライト級神姫達がまるで幼稚園児のように描かれていることが許せなかった。いや、百歩譲って小動物系はいい。コタマとは何の関係もない。だがハーモニーグレイスがそいつらと同じレベルで争っているのはどういうことか。小動物にシールを奪われ「その金ピカネコは私が狙ってたのにー!」とべそをかくハーモニーグレイスを見てコタマは漫画をゴミ箱へ捨てようとして、鉄子と喧嘩になった。作者へ苦情メールも送った。 そして第三巻が発売されたのが昨日のこと。再び漫画をゴミ箱へ投げ捨てようとして再び鉄子と喧嘩になり、苦情メールを数回送っても収まらない憤りをバトルにぶつけようと、エルメル姉妹からの挑戦を二つ返事で受けた。 「出てこいエル、メル! 来ねぇのなからこっちから行くぞ!」 故に、カバー折り返しに実写で掲載されるという破格の待遇を受けたアルトレーネを生で見て、憤りが収まるどころかより膨らんでいったのは詮ないことだった。 「やけに機嫌悪くないか、今日のコタマ」 貞方とタッグを組むという不愉快を極めた申し出だったが、エルとメルにああも真剣に頼まれては断り切れなかった。昨日発売された武装神姫の漫画を読んだエルとメルは漫画の後半で活躍した戦乙女型を見て「私(ボク)達はもっとやれるんじゃないか」と何の根拠も無い自信を持ったらしい。一人では無理でも、二人が力を合わせればドールマスターすら打倒し得る、と。 俺の隣で腕を組んでいる貞方はジッと筐体の中を見ている。 「背比、お前竹櫛さんと同じ弓道部ならコタマの弱点とか知らないのか」 「弱点? あー……そういえば」 「なんだ?」 「コタマってやたらとスマッシュ攻撃を使うんだよな。投げ技も一切使ってこないし、動きを読みやすい」 「スマブラの話じゃねぇよ! 神姫と何の関係あんだよアホが!」 「お前にアホとか言われたくねぇよクソが! じゃあお前がなんか考えろよ!」 放っておいてもバトルの状況は刻一刻と変わっていく。十数階建てビルの中へ逃げ込んだエルとメルを追って、コタマも壁を破って飛び込んでいった。 中の様子は別モニターに映し出される。ビルの内部は会社を模しているのだろうか、人が誰もいないことを除けば実在する事務所のようだった。狭いフロアに机や棚などの物が置かれている。人形二体を連れたコタマにとっては戦い難い場所だろう。 ビルの六階までコタマが上がってきたところで、エルとメルは勝負に出た。ファーストがガントレットでドアをブチ破りコタマが事務所の入口を跨いだ瞬間、エルがコタマの正面から、メルは背後から襲いかかった。ファーストとセカンドは壁を挟んで分かれ、コタマは両側の壁に阻まれ糸を自由に操れない。 待ち構えていたエルは最高速度で突進した。息を潜めていたメルはスカートの下から全武装を解放した。 だが、甘かった。 「うおっ!?」 ビルの側面の窓ガラスを突き破ってエルが飛び出してきた。反対側からメルも同じように出てきた。二人とも自発的にビルから離脱したのではない。そうでなければ、六階から落ちて受身すら取れず路上に叩きつけられるはずがない。 エルが割った窓からコタマが顔を覗かせ、ファーストとセカンドを連れて飛び降りた。 「おい貞方、今何があった?」 「知らん。状況からして、反撃されたのは確かだろうがな」 モニターには確かに、コタマを挟み撃ちにするエルとメルが映っていた。だが二人は直後にモニターから姿を消し、ビルの側面から現れた。 よろけながらもなんとか立ち上がるエルの前に、コタマは着地した。少し遅れてファーストとセカンドも降りてくる。AIを積んでいないはずの二体が何故綺麗に着地できるのかは、コタマにしか分からない。 「よォ大人気なアルトレーネ様。苦しんでるとこ悪いんだけどよ、さっきの名乗り、もう一回聞かせてくれよ」 メルはビルを挟んだ向こう側にいる。援護は期待できないが、一人で戦ってどうにかなる相手ではない。エルは剣と脚のパーツで路面を蹴り、コタマから離脱した。 「いいぞ逃げろエル! そのままメルと合――!」 しかし、エルの速度をもってしても、逃げることすら叶わなかった。 「『44ファントム』」 いつ見てもこの技は瞬間移動としか思えない。全速力で離れるエルの懐に一瞬で飛び込んだファーストは、咄嗟の剣による防御をものともせずガントレットを打ち込んだ。 自分の速度にさらなる加速を与えられたエルは、道路を飛び越え別のビル側面に叩きつけられ、力無く崩れ落ちた。 「エルっ!?」 「今だメル、本体を叩け!」 貞方のヤロウ、エルを囮にしやがった。だがファーストが未だエルへの攻撃の流れに乗って離れている今を逃せば勝ち目を完全に失ってしまう。業腹ものだが仕方がない。 ビルを回りこむのではなく中を真直ぐ突っ切ってきたメルは飛び出すなり、ありったけの武装を放った。次のチャンスが無いのなら、この瞬間で勝負を決めるしかない。 伸ばしたスカートとワイヤーがコタマへ届く直前、セカンドが持つライフルの銃身が間に割り込んだ。 「くっ!?」 「おっと危ねぇ。今のはワイアット・アープでも命取られてただろうぜ」 ワイヤーが巻きつきスカートに挟まれた銃身でそのまま、セカンドはメルを薙ぎ払った。ライフルの銃口がメルへと向けられる。 「じゃあな戦乙女。オマエらは先輩神姫への敬意が足りねぇんだよ」 後から聞いた話だと、メルはこの時「ハーモニーグレイスだってそんなに古くないじゃん」と呟いたらしい。 バトルを終えて、竹さん、貞方と三人でマクドナルドへ立ち寄った。テーブルの上では三人の神姫が例の漫画のことであれこれと議論している。先のバトルのことを持ち出さないのは良いことなのか悪いことなのか。 「そういや貞方、ハナコは?」 このところ大学でもあの健気なわんこ型神姫を見ていない。 「精密検査でメーカーに送ってある。昨日連絡があって、まだ時間がかかるらしい」 「ふうん、検査ってそんな時間かかるもんなん。コタマもいっぺん検査に出そうかね、ウルサイのが払えて丁度いいかもしれん」 竹さんはフライドポテトを一本ずつ減らしていった。ちまちまと妙に女の子らしく(いや女の子だけど)ポテトをかじるその姿はトップクラスの神姫オーナーには見えなかった。 「竹櫛さん、コタマが使うホイホイさんの……」 「ファーストとセカンド?」 「ちょっと見せてくれないか」 いいよ、と竹さんは気軽にトートバッグからハンカチにくるまれた二体を取り出した。今まで無造作にバッグの中に入れていたらしい。益々竹さんのオーナーっぷりを疑ってしまう。俺もエルの装備を筆箱に入れてるから他所様のことを言えたもんじゃないけど。 ちなみに貞方は専用アタッシュケースを持っている。クソブルジョワめ、先物取引に手を出して一日で破産しろ。 見せてもらったホイホイさんは、ごく普通のホイホイさんだった。ファーストは腕をガントレットに取り替えられているだけ、セカンドはもうそのまま害虫退治ができそうだった。 でも、この二体はバッテリーこそ積んでいるもののAIを搭載していない。動きはすべてコタマの糸で操られている。 「竹さん、コタマはどうやってこのホイホイさん動かしてんの?」 恐らくドールマスターを知る誰もが知りたい秘密だろう。思い切って聞いてみた。 でも質問が直接的すぎだろうか。貞方が「(お前、もう少し遠回しに聞けよ)」と目で言ってきた。でも竹さんはさして気にした風もなく、というより、 「さあ、分からん」 分からないらしかった。 「分からんって、竹櫛さんが用意したんだろ?」 「いーや、うちの兄貴に全部任せとるよ。メンテとかも」 「……そうか」 貞方がなぜか落ち込んでいる。きっと阿呆なりに思うところがあるんだろう。 哀れんでやろうとすると、ぎゃあぎゃあ騒いでいたエルに呼びかけられた。 「マスターマスター! やっぱりアルトレーネが一番だっきゃん!? にゃにするんですか鼻を打ちました!」 俺の元へ寄って来ようとしたエルの足を掴んで倒したコタマは、そのまま4の字固めを決めようとした。エルは鼻を押さえながらもそれに必死に抵抗している。 「オマエ今まで何聞いてたんだ! ハーモニーグレイスを差し置ける神姫なんていねぇっつってんだろ!」 「そんなわけありまっせん! どの神姫も平等なんです!」 「言ってることメチャクチャじゃねえか!」 「コタマ姉さんに言われたくありません!」 「二人はいいじゃない、漫画に出られたんだし……ボクなんて……」 小さな仲良し三人は俺達が店を出ると言うまで、俺達の意見を右から左へ受け流して自分の型の優位を主張し続けた。 オルフェ♡ カッコいいっス! 流石っす!! そう、今までの【武装神姫2036】は楽しくも、何かが足りませんでした。 その何かとはアルトレーネのことだったのです! ああ、オルフェのさらなる活躍を目にするのはいつになることやら…… 第四巻を楽しみに待ちましょう。 Wikiだと文の前に空白を置けないんですね。 知りませんでした。 15cm程度の死闘トップへ